企業で働く当事者に聞いた!働いてお金をもらうということ | 障害者の就労支援・情報サイト【凸凹ナビ】

企業で働く当事者に聞いた!働いてお金をもらうということ

凸凹ナビ編集部凸凹ナビ編集部

作成日 2017/07/26 更新日2017/12/22 3,731views

障害のある人の働き方には、いろいろな雇用の形があります。
特例子会社のように障害のある人が集まって働く形だけではなく、一般の企業で働く人も増えています。
企業での働き方の紹介と、就職活動のアドバイスについて、TOHOシネマズ株式会社の塚原さんにお話を伺いました。

働くって厳しいですよ

凸ちゃん
塚原さんのお勤め先について教えてください。

こんにちは。塚原です。
2008年10月にTOHOシネマズ株式会社に入社して、今年で9年目になります。
現在は人事労政部という部署で働いています。

私が勤めているTOHOシネマズではさまざまな障害のある人が勤務をしています。
本社に勤務している障害のある社員は私を含めて4名います。
その他の方々は映画館でアルバイトスタッフとして勤務しています。
障害種別と割合は、身体障害3割、知的障害4割、精神障害3割となっています。

私も障害者として勤務しているので、当事者ゆえに厳しい言い方になりますが、「働く」ってとても厳しいことですよ。
私の個人的な意見になりますが、働いてお給与をいただくということは、その代わりに「あなたは何ができますか?」と問われ続けるということです。

私は短時間の勤務からスタートしました

凸ちゃん
入社するときに、会社側にはどんな配慮を依頼しましたか?

私は目が見えにくいという障害がありますが、パソコンは使えること、手書きのメモが書けること、電話対応ができることを伝えました。
中途採用で入社しましたので、以前の職場での働き方も説明しました。

あとは、パソコンで作業するために「スクリーンリーダー」という支援機器を2つ用意して欲しいと伝えました。
スクリーンリーダーは、パソコン画面の内容を音声で読み上げてくれるソフトです。iPhoneのSiriと似ています。
スクリーンリーダーがあれば、目が見えなくても音声を聞いてパソコンの操作ができるので、Webで検索をしたり、書類を作ったりすることができます。

その他には、家が遠かったので短時間勤務からはじめさせてほしいと交渉しました。
最初からフルタイムで勤めるのが難しい人は、自分の生活状況を伝えた上で、勤務できるペースを会社に伝えたほうがいいと思います。

配慮は多めに求めたほうがいい

凸ちゃん
2つのスクリーンリーダーを使いこなして、お仕事をしているんですね。

入社するときに2つ用意してもらいましたが、今は1つしか使っていません。
スクリーンリーダーはメーカーごとに機能が違うので、普段使っているA社のものでは読み上げられないときのために、機能が異なるB社のものも用意してもらいました。

もし、A社のスクリーンリーダーだけを用意してもらって、実際に業務が始まってから「実はB社のスクリーンリーダーも必要だった…」という状況になったら、私も言いにくいし、会社の側も負担に感じると思います。
先に2つ用意しておいて、業務を進める中で「実は1つでよかった」という方が、職場の負担感が違います。

障害のある人が就職活動をするときに知っておいてほしいのですが、企業に対して「配慮はいりません。自分でできます。」と伝えることが必ずしもいい結果に繋がるとは思いません。
すこし過剰なくらいに配慮を求めたほうが、結果として会社の側にも安心してもらえます。

自分が働くためのコストを意識する

凸ちゃん
配慮を求めすぎると、採用されないんじゃないかと心配です。

少し経営的な話をすると、企業が障害のある人を採用するために、時間や人手やお金などのコストをいくらでもかけられるわけではありません。
配慮を依頼するということは、自分が働くためにどれくらいのコストをかけてほしいかを企業に伝えるということです。
採用条件を満たした求職者でも、配慮にまつわるコストが企業にとって過剰なものであれば、採用には至らないこともあると思いますし、用意できるようであれば採用になります。

いずれにしても、配慮を予告するのは大事なことです。
スクリーンリーダーの例で言うと、入社するときに「1つあれば大丈夫です」と言っていたのに、入社してから「やっぱり、もう1つ必要です」と伝えたら、予想していた以上のコストがかかることになります。

私の経験からすると、最悪の状態を想定して自分に必要な配慮を伝えたほうがいいと思います。
入社するときに「大丈夫です」と伝えても、それが通用しない状況に必ず遭遇します。
例えば、新しい業務について健常者と同じように教えられても、同じようにはできませんよね。

私の場合にはスクリーンリーダーを例にしましたが、例えば、精神障害がある人の場合には「個別面談を月1回お願いしたい」と言って入社したのに、働きはじめてから「週1回にしてほしい」と言われたら「話が違うじゃないか」と思うのではないでしょうか。
先に多めに言っておいて、後から少なくなるのであれば「思ったよりも、頑張ってやってくれますよ!」と受けとめてもらえると思います。

そして、配慮を求めるということは「この配慮を用意すれば、業務ができるということですね?」と聞かれることもあります。
企業の側からすると、配慮を用意した以上は仕事で返して欲しいと考えるのは当然のことです。
お給与をもらうというのはそういうことです。

障害に囚われすぎないで

凸ちゃん
働く上で意識していることがあれば教えてください。

障害によってできないことと、障害とは関係ない部分とがごっちゃになることがありますよね。
例えば、障害がある方で、性格が前向きでなかったとしてもそのことはイコールではありません。
いじめられたとか、過去に何かあった人もいるのかもしれませんが、それは個人的な事情なので職場では関係のないことです。

一般企業で働き始めると、周りはみんな健常者の方ばかりですから、自分が劣等感を感じたりすることもあるかもしれません。
障害があると、劣等感を感じやすいんですよね。

私個人としては、ネガティブな考え方の人よりも、「頑張ります!!」と明るく言っている人と働きたいし、自分はそっちになりたいです。
「なりたい自分」をもっていないと、どんどん落ちていって暗くなってしまいます。
自分自身が障害に囚われて、障害に関係ない部分まで悪くなってしまうこともあると思います。

私は目が見えにくいけれど、それはそれ!障害によってできない部分はしょうがないと思いますが、それ以外の部分は人並みか、それ以上にしようと努力していれば、ちょっとは周囲に認めてもらえるのではないか?
そう思って私は働いてきました。

自分について知ることが大事

凸ちゃん
これから働こうとしている障害のある人にむけて、メッセージをお願いします。

就職活動やその後の就労にむけて、自分について知るのは大事なことだと思います。
人から見た自分と、自分で思っている自分は絶対に違いますから、自分について知るために、他の人からの意見を聞いてみてください。
就職活動は「自分について知ること」からはじめることをおすすめします。

凸凹ナビ編集部のふりかえり

塚原さんにお話を伺う中で「厳しいことを言うようですが…」と何度も前置きをして、働くことや配慮について話をしてくださったことが印象的でした。
配慮を求めることについて「コスト」という言葉を使うことに少し驚きましたが、よくよく話を聞いてると、障害のある人が働くための人手や時間やお金のことを指しているのだとわかりました。
働くための配慮とは「思いやり」や「気遣い」ではなく、仕事をするために必要な環境を整えることなので、「コスト」という言葉を使うことにも納得しました。
働くことの厳しさを強調しながらも、厳しいことを言ってくれる優しさを感じた取材でした。

凹ちゃん

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《取材協力》
塚原真樹さん(人事労政部 人材開発室 第2号職場適応援助者)
※内容は掲載当時の情報です。記載されている会社名、サービス名、肩書などは現在と異なる場合があります。

《参考資料・関連情報》
TOHOシネマズ株式会社

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