【後編】はじめての障害者雇用 ~募集・面接・採用・トライアル雇用~ | 障害者の就労支援・情報サイト【凸凹ナビ】

【後編】はじめての障害者雇用 ~募集・面接・採用・トライアル雇用~

凸凹ナビ編集部凸凹ナビ編集部

作成日 2017/04/28 更新日2017/12/19 7,894views

若い採用担当者
障害の程度が軽くて、専門的知識やPCスキルをもった人材を求めています。
行政の人
そういう人はすでに定職に就いているので人材確保は難しいでしょう。
人材を確保するためには、知的障害や精神障害を含めた、さまざまな障害者を活用することが必要です。

障害者雇用は一般の採用とは異なるので、ポイントを押さえて進めることが必要です。
採用にむけた取り組みについてご説明します。

採用にむけた取り組みの概要

障害者雇用を行うために、担当者はなにをすればいいのでしょうか?
採用するまでの取り組みは「採用準備」と「採用活動」に分けることができます。

ここでは「採用活動」について、「募集活動」「面接の実施」「雇用支援制度の活用」の3項目に分けて、それぞれのポイントを解説します。

障害者雇用の進め方(後編)

「採用準備」については、以下の記事で解説しています。

募集活動

募集の目的とは、会社が求める人材から応募を受けて採用することです。
幅広い募集活動をすることで、求める人材を採用できる可能性が高まります。
代表的な5つの募集方法を紹介します。

自社のHPに求人掲載

会社のHP内に障害者雇用の求人を掲載する方法です。
自社に興味がある人に見てもらうことができます。

求職者の特徴 会社に対する関心が高い人
積極的な情報収集を行うことができる人
応募の流 HPを見た求職者からの直接応募
応募の流れ 自社のHP担当者に依頼するなど
料金 無料
若い採用担当者
うちはまだ掲載していなかったので、さっそくHP担当者に依頼します。

ハローワークの求人登録

ハローワークに障害者雇用の求人票を出す方法です。
求人票を出す際に、職務や雇用条件についての相談をしたり、助成金の申請をしたりすることができます。

求職者の特徴 求職登録をして職業相談を受けている人
応募の流れ 相談員を通じた応募の問い合わせ
募集の方法 障害者雇用の専門援助部門に求人票を提出する
料金 無料
行政の人
ハローワークは障害者雇用の「交通整理係」です。まずは相談に来てください。

就労支援・訓練機関や特別支援学校との連携

障害者の就労支援や訓練を行う機関や特別支援学校に、求職者の紹介を依頼する方法です。
支援機関のスタッフや教員は本人の能力をいかす方法を把握しているので、採用に向けて連携することでスムーズな受け入れが可能になります。

求職者の特徴 職業評価や職業準備支援を受けている人
職業訓練を受けている人
就職に向けた準備を行っている人
特別支援学校の生徒
応募の流れ 支援機関のスタッフや教員を通じた応募の問い合わせ
募集の方法 障害者雇用の募集条件に合う人を紹介してほしい旨を伝えて相談をする
料金 無料
凸ちゃん
支援機関のスタッフさんは、企業の人との間に入ってアドバイスをくれたり、職場に定着するための支援をしてくれたりするので、とても心強い存在です

障害者職業面接会の活用

障害者向けの職業面接会や就職活動イベントを活用する方法です。
ハローワークが主催する障害者職業面接会だけでなく、民間の人材紹介事業所が主催する就活フェアや転職イベントもあります。

求職者の特徴 面接会に出かけることができる人
就職活動中の学生
応募の流れ 面接会に参加した求職者と対面をして、会社説明や面接をした上での応募
募集の方法 職業面接会の主催者に出展の申し込みをする
料金 主催ごとに異なる
凸ちゃん
会社説明の後に企業の人に質問をさせてもらいました。応募する前に話を聞くことができるので、参加して良かったなーと思っています。

民間の求人サイトと人材紹介サービスの活用

障害者雇用に特化した有料職業紹介事業所(人材紹介サービス)や求人サイトが増えています。
公的機関にはない利便性の高さから、障害のある求職者の多くが利用している方法です。

障害者雇用の人材紹介サービス

障害者雇用に特化した有料職業紹介事業所(人材紹介サービス)です。
コーディネーターが求職者と企業の間に入ってマッチングを行うので、効率的な採用活動ができます。

求職者の特徴 幅広い選択肢から自分に合った企業を見つけたい人
ハローワークまで足を運びにくい人
応募の流れ コーディネーターが求職者と企業のマッチングを行ったうえで、双方の条件が一致した場合に応募
募集の方法 有料職業紹介事業所に紹介を依頼をする
料金 事業所の定める採用報酬など

求人サイト

障害者雇用に特化した求人サイトです。
パソコンやスマートフォンから職種や業種、雇用形態などの条件を選ぶことができる利便性の高さから、多くの求職者が登録しています。

求職者の特徴 Webを活用できる人
幅広い選択肢から求人を選びたい人
ハローワークまで足を運びにくい人
応募の流れ 希望する勤務地、職種、業種、雇用形態などの条件を自分で選択をして応募
募集の方法 運営者に求人掲載を依頼をする
料金 掲載方法や成果に応じて異なる
ベテランの採用担当者
今の時代は、求人サイトや人材紹介も上手く使わないと雇用率を達成するのは難しいと思います。
登録している求職者の数が圧倒的に違いますからね。

面接の実施

面接は自社や業務について説明することと、応募者の適性を把握して採用の判断材料とするために行います。
障害のある求職者と面接をする際には、障害者雇用促進法が定めている「障害者差別禁止」と「合理的配慮提供」の指針に留意することが必要です。

面接時の「差別の禁止と合理的配慮の提供」「質問の項目」「職業準備性の確認」について説明します。

差別の禁止と合理的配慮の提供

障害のある求職者の採用活動は、障害者雇用促進法によって「差別の禁止」と「合理的配慮の提供」が義務づけられています。
以下の指針を確認して、障害による差別や不平等のない採用活動を実施しましょう。

募集又は採用に関し、次に掲げる措置のように、障害者であることを理由として、その対象から障害者を排除することや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当する。
ただし、14に掲げる措置を講ずる場合については、障害者であることを理由とする差別に該当しない。

イ 障害者であることを理由として、障害者を募集又は採用の対象から排除すること。
ロ 募集又は採用に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。
ハ 採用の基準を満たす者の中から障害者でない者を優先して採用すること。

障害者雇用促進法「障害者差別禁止指針」第3-1 募集及び採用

(1) 募集及び採用時における合理的配慮
障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するために講ずる障害者の障害の特性に配慮した必要な措置。

障害者雇用促進法「合理的配慮指針」第4-1 合理的配慮の内容

行政の人
面接時にどのような配慮が必要かを本人に確認すべきだと法律に書かれています。
凸ちゃん
面接で配慮を受けられないと、最初から土俵にあがれないようで悲しいです。
そういう企業は入社した後の対応も同じだと思うので、障害者は長くは働けないでしょうね。
凹ちゃん
就労支援センターのスタッフと一緒に面接を受けました。僕のことは自分で説明できるように練習していますが、仕事をするときにどんな支援が必要なのかはスタッフが話してくれます。

面接の留意点と質問の項目

面接の際にはスキルや能力、意欲、協調性などの一般的な事項と、職務遂行に関係する障害状況や職場での配慮事項について確認をします。

障害に関する質問をする際には、本人の了解を得ることから始まります。
その際には「配属先や担当業務を決めるため」「採用となった場合に働きやすい職場環境を作るため」など、確認をする理由も伝えましょう。

主な質問内容は以下の項目が考えられます。

障害関係の質問 ・障害の状況
・治療の必要性と内容
・通院 / 服薬の状況
・必要な支援内容
職場生活関係の質問 ・通勤の方法
・通勤経路と時間
・職場内の移動方法
職務遂行に関する質問 ・希望する仕事
・仕事に関するスキルの習得状況
 ー専門知識
 ー機器などの操作
 ーパソコン操作
 ー運転免許など
・コミュニケーション方法
 ーメール
 ー電話
 ー聴覚障害の場合はコミュニケーション手段
・出張、異動の可否

引用:独立行政法人 高齢・障害・求職者支援機構『はじめからわかる障害者雇用』

若い採用担当者
雇用した場合の配属先や担当業務を決めるためにも、障害のことを含めた本人の状態を知っておきたいのですが、採用面接でどの程度聞いていいのですか?
行政の人
本人から障害があることを伝えてきた場合には、聞いてかまいません。 ただし、障害に関する情報は個人情報の中でも特にセンシティブな情報であることを留意してください。

職業準備性の確認

知的障害と精神障害の人を雇用する場合には、「職業準備性」を確認することが必要だと言われています。

「職業準備性」とは、特定の職業に就くための技術や資格の習得状況ではなく、どの職業にも共通して必要とされる職業人としての基礎的な要件のことです。

たとえば、「朝起きて遅刻をせずに会社に行く」ことや「職場に応じた身だしなみをする」などの基本的な労働習慣が身についていない場合や、通院や服薬の自己管理ができていない場合には、安定して出勤できずに離職してしまうこともあります。

就労準備の基盤となるのは「心と健康の管理」です。体調管理や服薬管理などを指します。
その上に重なるのは「日常生活管理」です。金銭管理や移動能力、基本的な生活リズム作りなどを指します。
その上に重なるのは「基本的労働習慣」です。挨拶や返事、報告・連絡・相談、身だしなみを整えること、規則を守ることなどを指します。

職業準備性

ベテランの採用担当者
採用面接の時には「通院のためのお休みをいただければ、他にはとくに配慮はいりません」と言っていた人が、入社した後に「あれができない」「これはできない」「だって障害あるから」と言われると困ってしまいます。
行政の人
採用後にミスマッチを起こさないためにも、職業準備性を確認しましょう。

雇用支援制度の活用

障害者を雇用することに慣れていない事業主に対して、一定期間の制限を設けて試行雇用をする「障害者トライアル雇用事業」と、採用後に職場への定着支援をする「職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業」という制度があります。
いずれも、障害者を雇用する企業をサポートする制度として多くの企業が活用しています。

障害者トライアル雇用事業

障害者トライアル雇用とは、障害者を原則3ヶ月間試行雇用することで、その適性や能力を見極め、常用雇用へのきっかけになることを目的とした制度です。
はじめて障害者を雇用する事業主にとって、不安を解消したりミスマッチを防いだりすることができる制度です。

職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業

職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業は、職場にジョブコーチが訪問をして、障害特性を踏まえた直接的で専門的な支援を行い、障害者の職場適応、定着を図ることを目的とした制度です。
障害者自身に対する支援だけでなく、事業主や職場の従業員に対しても障害者の職場適応に助言を行い、必要に応じて職務の再設計や職場環境の改善を提案します。

まとめ

採用活動で取り組む事柄についてご説明してきました。

「募集活動」では、幅広い募集活動をするための5つの方法を紹介しました。
「面接の実施」では、応募者の特性を把握して採用の判断材料を集めるための質問項目や、面接時の配慮について説明しました。
「試行雇用制度の活用」では、「障害者トライアル雇用事業」と「ジョブコーチ」の2つの制度を紹介しました。

採用準備から採用活動までの流れを踏まえて、障害者雇用を進めてください。

《補足》
・ここで掲載しているデータや組織名称は2017年4月現在のものです。

《この記事の参考にさせてもらった資料・リンク》
・ATARIMAE PROJECT「障害者雇用Q&A」
・株式会社FVP「はじめて障害者雇用に取り組む企業様向けにQ&A集」
・厚生労働省「障害者雇用促進法 差別禁止指針 合理的配慮指針」
・厚生労働省「障害者トライアル雇用コース・障害者短時間トライアルコース」
・独立行政法人 高齢・障害・求職者支援機構「職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業」
・独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構『はじめからわかる障害者雇用 事業主のためのQA集』
・永野仁美、長谷川珠子、富永晃一(2016)『詳説 障害者雇用促進法~新たな平等社会の実現に向けて』株式会社弘文堂
・労務行政研究所(2016)『障害者雇用の実務』株式会社労務行政

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