成人発達障害者が自立支援医療制度を受けた体験談

宇樹 義子宇樹 義子

作成日 2017/03/09 更新日 2017/06/01 11,706views

自立支援医療(精神通院)とは、精神疾患が原因で通院の必要な人が医療費の自己負担額を軽減できる制度です。
なぜかどこの医療機関でも患者に積極的に知らされることがありませんが、精神の疾患・障害で通院が必要な人は多くがこの制度の対象となります
たとえば発達障害を持っている人で、精神科や心療内科などで継続的な投薬や診察を受けている人もほとんどの場合自立支援医療制度の恩恵を受けることができます。

今回は、自立支援医療制度の利用申請方法、利用のメリットなどについて、二次障害を持つ成人発達障害者である私の体験にもとづいてお伝えいたします。

自立支援医療制度とは

自立支援医療制度とは

自立支援医療制度とは何か、利用のメリット、申請方法について解説します。

精神疾患のために通院する必要がある人が対象

自立支援医療制度についての厚生労働省の説明は以下のとおりです。

自立支援医療(精神通院医療)は、精神疾患(てんかんを含みます)で、通院による精神医療を続ける必要がある病状の方に、通院のための医療費の自己負担を軽減するものです。

厚生労働省

同ページの「対象となる方」の説明は以下のとおりです。(太字は宇樹)

何らかの精神疾患(てんかんを含みます)により、通院による治療を続ける 必要がある程度の状態の方が対象となります。
対象となるのは全ての精神疾患で、次のようなものが含まれます。

  • 統合失調症
  • うつ病、躁うつ病などの気分障害
  • 不安障害
  • 薬物などの精神作用物質による急性中毒又はその依存症
  • 知的障害
  • 強迫性人格障害など「精神病質」
  • てんかん
など

厚生労働省

例外はあるのかもしれませんが、要するに、メンタルの問題で通院を続ける必要のある人はほぼ全員がこの制度の恩恵を受けられると考えてよさそうです。

自立支援医療制度は、困っているのに支給基準に該当しない人がたくさん出る障害年金と比べて、とても緩い基準で運営されているのです。

下に詳細を説明しますが、申請に必要な書類で多少の手間がかかるのは主治医による診断書ぐらいです。
「発達障害やその二次障害などで投薬や診察が必要で、精神科や心療内科に定期的に通っている」という人は、自立支援医療制度の利用申請をしてみて損はないでしょう。

負担額が大幅に安くなることが多い

負担額の詳細な条件は複雑でひとことで言えないので厚生労働省の説明を見ていただきたいのですが、私の場合は普通の健康保険で3割負担だったものが1割負担になりました
収入がすごく多いわけでもない場合、大幅に負担が軽減する人がほとんどなのではないかと思います。

私の現状では、1回の通院で数百円しかかかりません。
薬局での薬の代金にも1割負担が適用されるので、1回の通院で薬も含めて1000円かからないこともよくあります。

この感覚に慣れてしまったので、風邪をひいて内科にかかったときなどに数千円とられると、本来それが普通なのに「うっ高い…」と感じてしまうことも。

自立支援医療制度の申請方法

自立支援医療制度の申請方法

申請に必要なもの・申請方法

自立支援医療制度の利用には、手帳(精神障害者保健福祉手帳や療育手帳など)は必要ありません
主治医による、精神疾患の診断書があればOKです。

申請は住んでいる自治体の役所の担当窓口で行います。
必要な書類は以下です。

  • 申請書(窓口で記入します)
  • 同意書 兼 世帯状況申出書(窓口で記入します)
  • 主治医による診断書
  • 健康保険証(世帯全員分が必要な場合があります)
  • 制度を使って利用したい病院・薬局についての情報
    (病院は1つ、薬局は2つまで。名称・住所・電話番号などをメモしておく)
  • 障害年金などの年金を受給している場合は支払通知書

※その他その人の状況によって必要な書類が違ってくる場合もあるので、いきなり行く前に一度電話などで確認したほうが無難です

1〜2ヶ月たつと自立支援医療受給者証が発行されます。
本人の自宅に送付されて自分で管理する場合と、通う医療機関に送付されて医療機関で管理してくれる場合とあるようですが、私の場合は後者です。

申請時のコツ

手帳も申請・更新したい人は同時に

ゆくゆく手帳も申請しようとか、近いうちに手帳も更新しようという人は、同時に手続きしてしまうと診断書は1枚、手間は一度で済むのでとても楽で経済的です。
以降の更新時期が手帳と自立支援で同時にやってくるので更新し忘れの防止にもなります。

誰かに同行してもらえると安心

申請では、いろいろな書類を記入しなければなりませんし、書類を忘れたりなくしたりすると二度手間になってしまいます。
発達障害者はうっかりミスをしがちですし、想定外の事態や人との会話が苦手な部分があるので、これらの失敗や苦手をカバーしてくれるような人に支援・同行してもらえると安心です。

私の場合、夫や支援者に同行してもらうようにしています。

誰も教えてくれなかった!

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自立支援医療制度のことを初めて知ったときには驚きました。
精神科や心療内科への通院経験は長いのに、今までそんな制度のことは見たことも聞いたこともなかったからです。

7年精神科に通院したのに…

私は現在の心療内科に通うようになる前は、7年間も精神科に通院していました。
その間、誰からも、一言も、自立支援医療制度について聞いたことはありません。

診断書1枚書いてもらえば多くの場合3割負担が1割負担になるというとても助かる制度なのに、どうして患者たちにもっと積極的にアナウンスされないのかが本当に疑問です。

情報収集がとっても重要

実は、私に自立支援医療制度について教えてくれたのは、発達障害仲間でした。
私に「障害年金というものがあるんだよ」と教えてくれたのもこの人だけ。

ほかの障害でも、たとえば妊娠・出産・育児でもそうですが、困っている人たち向けの情報は現状、ほとんどがバラバラに散らばっています。
困っている誰もがワンストップでアクセスできるような網羅的情報がないのですよね。
まだまだ、ただでさえ大変な当事者自身がひとりで情報収集に奔走せざるをえない状況なのです。

こんな中で「少しでも生きやすい環境」を得られるかどうかは、ちょっと情報戦のようなところがあります。
そんなとき、ピア(仲間)のネットワークは何よりも役に立ちます

障害者として生きることはある意味で情報戦のようであること、そんな中でピア(仲間)の存在はとても大事だということを覚えておいてください。

ぜひ申請にチャレンジを

ぜひ申請にチャレンジを

精神科・心療内科に通院が必要な人は、ぜひ一度自立支援医療の申請を検討してみてください。
通院にかかる医療費が基本的に3分の1で済むようになるので、とっても助かりますよ!
主治医に相談するのがちょっと気が引けるようであれば、発達障害者支援センターや障害者就労・生活支援センターなどの支援員に間に入ってもらうのも手です。

みなさんが、受けられる支援はどんどん受けて、少しでも楽に生きていけるようになりますように!

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この記事を書いた人

宇樹 義子

宇樹 義子

成人発達障害者(高機能自閉症)。 30過ぎまで発達障害が発覚しなかったこともあり、思春期から20年ほどもろもろの二次障害に苦しみました。自身の経験をもとに、発達障害者や悩みを抱えた人に向けていろいろと発信中。 ライターの仕事のかたわら、個人ブログ「decinormal」を運営。動物が大好き!

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