精神障害者の採用・雇用管理のヒント ~日本アスペクトコア株式会社 チャレンジドセンター~

凸凹ナビ編集部凸凹ナビ編集部

作成日 2017/10/31 更新日2017/10/31 1,611views

※「障害」の表記について
凸凹ナビでは「障害」と表記をする方針ですが、お話しいただいた箇所については日本アスペクトコア株式会社の方針に基づいて「障がい」と表記しています。

若い人事
障害者雇用で精神障害のある人を採用したのですが、勤怠が安定せずに休みがちなので対応に困っています。
改善してほしいけれど、強く伝えると症状を悪化させてしまいそうで対応が難しいです。
こういうときはどうしたらいいんでしょうか?
ベテラン人事
他社の事例を参考にしてみてはどうでしょうか?

日本アスペクトコア株式会社は、障害のある人が誇りとやりがいをもって働ける職場環境を醸成するために、2012年にチャレンジドセンターを設立しました。
現在(2017年9月)は精神障害や発達障害がある人を中心に、12人の障害のあるメンバーが働いています。
行政機関から高い評価を受けているチャレンジドセンターの採用・雇用管理の工夫について、センター長の坪井さんと専任スタッフの櫻澤さんにお話を伺いました。

障害者が誇りとやりがいをもって働く部署

封入作業の検品をしている入社5年目のメンバー

封入作業の検品をしている入社5年目のメンバー。

若い人事
日本アスペクトコアの障害者雇用について教えてください。

坪井)こんにちは。日本アスペクトコア株式会社 チャレンジドセンター センター長の坪井です。
チャレンジドセンターは弊社の赤坂事業所内に2012年4月に設置されました。
特例子会社を設立するのではなく、ひとつの部署として社内に設置しています。

センターでは現在(2017年9月)12名の障がいのある人が働いていて、障がいの種類は身体障がいが2名、知的障がいが4名、精神 / 発達障がいが6名です。
精神障がいには高次脳機能障がいも含まれます。

チャレンジドセンターの取り組みに対して、2014年9月に独立行政法人 高齢・障害者・求職者雇用支援機構より「平成26年度 障害者雇用優良事業所」として表彰を受けて、2016年3月には厚生労働省委託事業である精神障害者等雇用優良企業認証事業において、精神障がい者等を中心に障がい者の雇用促進に積極的に取り組む企業として「精神障害者等雇用優良企業」の認証を取得することができました。
外部から評価をいただけているは、ありがたいことだと思っています。

櫻澤)チャレンジドセンター設立直後から専任スタッフをしている櫻澤です。
チャレンジドセンターでは「働きたい」という気持ちとチームワークを大切にして、障がい者も健常者も「ともに働く企業風土づくり」に取り組んできました。

障がい者を採用・雇用管理する経験を通して、書類と面接だけで判断しないことや支援機関と繋がることの大切さに気づきました。
なぜこのことが大切なのか、私たちの経験を交えてお話しします。

採用は書類と面接だけで判断しない

若い人事
なぜ、書類と面接だけで判断しないことが大切なのですか?

櫻澤)障がい者を採用する際に書類審査と面接だけで判断するのは難しいと思います。
そうやって採用した人たちは、1年目を迎えたときに4人も退職してしまいました。

こうした経験から、現在は実習を通して実際に働く様子を見てから採用するようにしています。
実習は特別支援学校や東京しごと財団などから実習希望者を募っておこなっています。

いくつかの障がい者雇用の講習会に参加しましたが、障がいのある人と直接かかわるほうが知識が深まると思いますし、実習生を受け入れたことで「テキスト通りにはいかないんだな」ということがよくわかりました。

若い人事
実習生を受け入れるメリットはなんですか?

櫻澤)書類や面接だけでは把握できないことが、実習を通して見えてきます。
障がい名や手帳の等級が同じだとしても、個々人によって特徴は大きく違います。

たとえば、数年前に軽度の知的障がいと自閉症の傾向がある実習生を2人受け入れたことがあります。
ふたりとも知的障がいがあるので「愛の手帳」(※東京都の療育手帳)を持っていて、手帳の等級も同じです。
Aさんは普通の中学・高校を卒業して、就労移行支援事業所で訓練を受けてから実習にきました。
Bさんは特別支援学校高等部3年生のときに実習にきました。

Aさんは普通の高校を卒業しているので知的な障がいは軽いのだろうと思っていましたが、人とのコミュニケーションに消極的であったり、指示したことを理解できているのかどうかがわかりにくい人でした。

Bさんはコミュニケーションは苦手ですが、指示したことに対する反応が明確なので、やりとりはスムーズでした。
しっかりとした受け答えもできるので、「なぜ、この子が愛の手帳をもっているのだろう?」と思うこともありました。

AさんとBさんは手帳の等級は同じなのに、障がいを感じさせる程度は大きく異なりました。
書類と面接だけで判断をするのならAさんを採用したかもしれませんが、実習により適性を判断してBさんを採用しました。
一緒に働いてわかる手応えや実感を得た上で、採用するかどうかを決められることが実習のメリットだと思います。

支援機関との繋がりを大切する

若い人事
なぜ、支援機関との繋がりが必要なのですか?

櫻澤)精神障がいのある人は、季節の変化によって体調を崩すことがあります。
しかし、病気のことや生活について会社が立ち入りすぎるわけにはいかないので、支援機関のスタッフに間に入ってもらうことが有効です。

たとえば、精神障がいのあるメンバーのなかには、就職する前に精神科のデイケアに通っていた人がいます。
就職してからもデイケアのスタッフがアフターフォローとして職場定着支援をしてくれたおかげもあって、安定して働けるようになりました。
しかし、ある時期から調子を崩して休みがちになっていたので、生活の様子について尋ねると「担当の人が厳しいから嫌だ」という理由でデイケアとの関係を断っていました。
その人を支援する人がいつのまにか誰もいない状態になっていたのです。

精神障がいの場合、体調が悪くなるのは仕方がない部分もあります。
しかし、主治医に相談して薬を調整することに加えて、生活リズムを整えて、自分で体調をコントロールできるようになることが必要です。
私たちだけでは解決できない部分を支援していただくためにも、メンバーにはデイケアや就労移行支援、就労支援センター、障害者就業・生活支援センターなど、いずれかの支援機関への登録を義務づけています。

障害者への思い込みを捨てる

封入作業の検品をしている様子

手順書やツールを使いながら、集中して作業に取り組んでいるチャレンジドセンターのメンバーの様子。


若い人事
障害のある人と働く際に、心がけておくことはありますか?

櫻澤)障がいのある人と一緒に働いた経験のない人は「障がい者って、同じ作業をずっと繰り返しても飽きないんですよね」「障がい者って、一度指摘されたことは忠実にやるんですよね」という思い込みをもっていることが多い気がします。
変化を好まない人や臨機応変な対応が苦手な人がいることも事実ですが、同じ作業を続けることだけが適しているわけではありません。

作業の指示や間違いの指摘は何度も繰り返し伝え、覚えてもらいます。
そういった対応は、障がいがあるから特別なことではなく、仕事を進めるうえで誰に対しても必要な対応です。

坪井)精神障がいのあるメンバーに手順書やツールを作るために研修を受けに行ってもらうこともありますし、使いやすいものになるようにきちんとやってくれているので感謝しています。
単純な作業だけをさせるのではなく、そういった役割も担っていることが「精神障害者等雇用優良企業」の認証をいただけたことにつながったのだと思います。

障がい者雇用に困っておられる企業さんは多いようですので、チャレンジドセンターで培ったノウハウを展開して、社外やお客様に還元していきたいと考えています。

凸凹ナビ編集部のふりかえり

障害者の採用と雇用管理について、具体的な経験を例に挙げながら説明をしていただきました。
櫻澤さんが「思い込みを捨てた方がうまくいきますよ」とおっしゃっているのを聞いて、とても大切なことだと思いました。
障害に対する思い込みを相手を当てはめようとすると、仕事をはじめた後にコミュニケーションの不具合が起きてしまいます。
「障害者」という特別な人がいるわけではありません。実習の機会を設けたり、支援機関に間に入ってもらったりする方法もあるので、チャレンジドセンターの事例から得たヒントが多くの企業に広がってほしいと思いました。

凸ちゃん

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《取材協力》
坪井浩さん(管理本部 人事部 チャレンジドセンター センター長)
櫻澤礼子さん(管理本部 人事部 チャレンジドセンター)
※内容は掲載当時の情報です。記載されているサービス名、肩書きなどは現在と異なる場合があります。

《この記事の参考にさせてもらった資料》
日本アスペクトコア株式会社

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