メンバーの力を活かす障害者雇用 ~日本アスペクトコア株式会社 チャレンジドセンター~

凸凹ナビ編集部凸凹ナビ編集部

作成日 2017/10/31 更新日2017/10/31 376views

※「障害」の表記について
凸凹ナビでは「障害」と表記をする方針ですが、お話しいただいた箇所については日本アスペクトコア株式会社の方針に基づいて「障がい」と表記しています。

日本アスペクトコア株式会社は、47年にわたってビジネスプロセスを支援するアウトソーシングサービスを提供している会社です。
障害のある人が誇りとやりがいをもって働ける職場環境を醸成するために、チャレンジドセンターを2012年に設立しました。
それ以来、メンバーの力を活かした「ともに働く企業風土づくり」は外部から高い評価を受けています。
チャレンジドセンターの取り組みや工夫について、センター長の坪井さんと専任スタッフの櫻澤さんにお話を伺いました。

日本アスペクトコアの障害者雇用

管理本部人事部チャレンジドセンターの櫻澤さん(左)とセンター長の坪井さん(右)

管理本部人事部チャレンジドセンターの櫻澤さん(左)とセンター長の坪井さん(右)。

坪井)こんにちは。日本アスペクトコア株式会社 チャレンジドセンターの坪井です。
チャレンジドセンターは弊社の赤坂事業所内に2012年4月に開設されました。

センターでは現在(2017年9月)12名の障がいのある人が働いています。
障がいの種類は身体障がいが2名、知的障がいが4名、精神 / 発達障がいが6名です。
精神障がいのなかには高次脳機能障がいの人もいます。

チャレンジドセンターでは「働きたい」という気持ちとチームワークを大切に、障がい者も健常者も「ともに働く企業風土づくり」に取り組んできました。
その取り組みに対して、2014年9月に独立行政法人高齢・障害者・求職者雇用支援機構より「平成26年度障害者雇用優良事業所」として表彰していただきました。
また、2016年3月には厚生労働省委託事業である精神障害者等 雇用優良企業認証事業において、精神障がい者等を中心に障がい者の雇用促進に積極的に取り組む企業として「精神障害者等雇用優良企業」の認証を取得することができました。

実績を重ねて業務の幅を広げました

封入作業の検品をしている入社5年目の井田さん

封入作業の検品をしている入社5年目のメンバー。

ーーチャレンジドセンターの業務内容について教えてください。

櫻澤)主な業務は「スキャニング作業」「封入封緘作業」「データ入力作業」です。
実績を重ねることで業務の幅を広げてきました。

センターを立ち上げて、最初に取り組んだのは社内文書のスキャニング作業でした。
メンバーの頑張りもあって、この業務は予想の何倍も早く進めることができ、社内保管文書を削減することができました。

次に取り組んだのは、従業員向けの書類の封入封緘作業です。
以前は人事部の人たちが残業や休日出勤をして1,000部以上の書類を折って封入していたので、センターで対応したことで、とても喜ばれました。

また、データ入力作業もおこなっています。
弊社はアウトソーシングサービス業ですので、従業員の9割はお客様先で勤務をしています。
お客様によってはセキュリティの関係で弊社の勤怠管理システムが使えないことがあり、その場合はタイムカードで記録をして、後からエクセルに入力することになっています。
その入力作業が持ち出しの残業になっていたので、センターで引き受けられられるように関係部署に提案しました。
現在は80人分の勤怠記録を10日ごとに集めて代行入力をしています。

この他にも、同じ建物のなかにあるプリントセンターから紙折りや封入封緘などの作業を請け負ったり、「何かあれば声をかけて」と社内の各部署に伝えたりすることで、センターの仕事が少しずつ広がっていきました。

手順書やツール作りも任せています

角を合わせて目印の位置で折って作業ができるツール

角を合わせて目印の位置で折って作業ができるツール。写真を用いた手順書もとてもわかりやすい。

ーー業務をスムーズに進めるための工夫はありますか?

櫻澤)手順書とツールを活用しています。
はじめのころの手順書は文字が多かったのですが、メンバーとかかわるなかで「見てわかることが大事」だと気がついたので、絵や写真を増やして「誰が見てもわかりやすいもの」を目指しました。
たとえば紙を三つ折りにする作業は最初のひと折りが難しいので、3分の1を簡単に折れるようなツールを作っています。
ラベル貼りなどの他の作業でもツールを作って活用しています。

坪井)弊社が外部から請け負っている仕事を任せることがあるので、会社として品質を保証しなければなりません。
手順書とツールを用いて確実な作業ができるように環境を整えています。

ーー手順書やツールは櫻澤さんや坪井さんが作ったのですか?

坪井)メンバーが試行錯誤して作ってくれています。
そのために研修を受けに行ってもらうこともありました。

使いやすいものになるようにきちんとやってくれているので感謝しています。
そういう部分で力を発揮してくれるのはありがたいですし、単なる作業だけでなく、自分で考えて進める業務を任せたことが良い効果を生んだのではないでしょうか。
他にも、精神障がいのあるメンバーに実習生や10代~20代の若い人の指導を担ってもらうこともあります。

ともに働くための3つのポイント

整理整頓された環境の中で業務に集中している様子

整理整頓された環境の中で業務に集中している様子。

ーー実習生を積極的に受け入れていると聞きました。

櫻澤)特別支援学校や就労移行支援事業所、東京しごと財団などから実習を受け入れています。
最初に採用した人のなかに幼児教育を学んだ経験のあるメンバーがいたので、受け入れ体制やサポート体制を一緒に作ってもらいました。
私ひとりではそこまでできなかったと思います。

実習生を受け入れたことで、障がいのある人の特性や症状は個々によって違うことがわかり、私たちも鍛えられました。

ーー面接ではどんな質問をしていますか?

櫻澤)障がいや体調を含めて自分自身のことをきちんと話せるかどうかを確認しています。
面接で「障がいの状態はどうですか?」と尋ねると「落ち着いています。大丈夫です。安定しています」と答える人が多いのですが、そういう受け答えをする人は「本当に大丈夫かな…」と不安になることもあります。

その他には、チャレンジドセンターはさまざまな障がいの人と一緒に働くことになるので、自分とは違う障がいのある人を理解できるかどうかも尋ねています。
多くの場合は実習の様子をみて採用するかどうかを判断しています。

ーー実習期間に見ているポイントはなんですか?

櫻澤)3週間の実習中に見ているポイントは「勤怠」「報連相」「挨拶」の3つです。

ひとつ目の「勤怠」については、10時から16時半まで働き続けられるかどうかを見ています。
弊社の事務所は赤坂にあるので、多くの人は電車などの公共機関を利用して通勤することになります。
それまで自宅近くの訓練機関やデイケアに通っていた人は慣れるまでは大変かもしれませんが、出勤できなければなにも始まらないので、安定した勤怠が可能かどうかを確認しています。

2つ目の「報連相」については、報告はできるけれど相談が苦手な人が多いのです。
たとえば、作業をしているときにわからないことがあって「あれ?」と疑問に思っても、質問や相談をせずに、そのまま作業を続けてしまうということが多く見られます。

坪井)正直な人が多いので「『いいのかな?』と思ったのだけれど、確認せずにやってしまいました」と日誌で報告をもらうことがあります。
実習生は16時までが作業時間で、残りの30分はふりかえりの時間です。
ふりかえりの時間にわかったことはそのときに指導しています。

櫻澤)3つ目の「挨拶」については、赤坂事業所はお客様もいらっしゃる場所なので「社内では誰と会っても挨拶してください」と伝えています。
言葉でのコミュニケーションが難しい人も会釈をするだけで印象は変わると思います。

障害者だから特別な対応をするのではない

ーー障害者雇用を行うなかで気づいたことや、今後の展望について教えてください。

櫻澤)センター設立当初は、メンバーへの接し方や指導方法に頭を抱えることもありましたが、5年間の経験のなかで障がい者だからといって特別なことはないと気がつきました。
障がいがあるから特別な対応をするのではなく、誰に対してもコミュニケーションの方法や指導の仕方には工夫が必要です。

私個人の考えですが、組織の中で管理職になる人は障がいのあるメンバーとともに働くことを経験すると、とてもいい組織作りができると思います。
障がいに関係なく「言わなくてもわかるだろう」という思い込みがコミュニケーションエラーを引き起こします。
チャレンジドセンターでは必要なことを1から10まで伝えることを積み重ねており、この経験は人への接し方、伝え方、コミュニケーションの方法を見なおす良い機会になります。
障がい者だからといって特別なことはないと思っています。

坪井)チャレンジドセンターの今後の展望は、社内の理解を進めることと、社外やお客様に対してさらにお役に立てるようになることです。
障がい者雇用に困っておられる企業さんは多いので、チャレンジドセンターの強みを活かしていきたいと思います。
お客様がお困りのことはアウトソーシングでお手伝いできますので、外部から高い評価をいただいていることをぜひ多くの皆さんに還元していきたいです。

凸凹ナビ編集部のふりかえり

メンバーの力を活かすことで業務の幅を広げていった経緯を伺いました。
障害のある人のために特別な仕事や職場を仕立てるのではなく、ひとつの部署として会社組織に貢献する働きをしていることが、業務が広がっていった理由のようです。
坪井さんと櫻澤さんにお話を伺うなかで「頑張ってくれている」「助けられました」「きちんとやってくれるのでありがたい」というねぎらいの言葉が何度も出ていたことが印象的でした。
そうした言葉を自然と口にされる様子からも、チャレンジドセンターが「ともに働く職場づくり」に取り組んでいることを感じました。

凹ちゃん

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《取材協力》
坪井浩さん(管理本部 人事部 チャレンジドセンター センター長)
櫻澤礼子さん(管理本部 人事部 チャレンジドセンター)
※内容は掲載当時の情報です。記載されているサービス名、肩書きなどは現在と異なる場合があります。

《この記事の参考にさせてもらった資料》
日本アスペクトコア株式会社

凸凹ナビ編集部

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