企業で働き続ける力を身につける ~就労移行支援事業所さらぽれ塾~

凸凹ナビ編集部凸凹ナビ編集部

作成日 2017/08/29 更新日2017/10/11 560views

就労移行支援事業所とは、障害のある人が企業での一般就労を目指して訓練を受ける支援機関です。
特定非営利活動法人さらプロジェクトは、東京と神奈川に4箇所の就労移行支援事業所「さら就労塾@ぽれぽれ」(通称:さらぽれ塾)を運営しています。

オフィスワークで働くためのパソコンのスキルを学べるだけでなく、「働き続ける力」を身につけるカリキュラムに特徴がある事業所です。
さら就労塾横浜事業所の施設長の内田さんに、カリキュラムの内容と特徴についてお話を伺いました。

さら就労塾とは?

就労移行支援事業所 さら就労塾 横浜事業所

就労移行支援事業所 さら就労塾 横浜事業所。

凸ちゃん
さら就労塾について教えてください!

こんにちは。さら就労塾 横浜事業所の内田です。
さら就労塾は、特定非営利活動法人さらプロジェクトが2007年に設立した就労移行支援事業所です。

さらプロジェクトは、東京都杉並区で高齢者にむけたICT講習やパソコン出張サポートを行う団体としてスタートしました。
当初は杉並区からの委託事業を中心に運営していましたが、その後、東京都しごと財団や世田谷区からの委託事業をうけて、高齢者だけでなく障害のある方にもパソコン指導を行うようになりました。
その活動の中で精神障害のある方にパソコン指導を行いましたが、パソコンを使って働きたい方へのサポートが不足していることに歯がゆさを感じて、就労移行支援事業所を立ち上げました。

さら就労塾では障害のある方が就労に必要な力を習得するために、オフィスで必要とされるスキルに加えて、職業人として適切な考え方と判断基準を習得するプログラムを用意しています。
就労することだけをゴールとするのではなく、安定して働き続ける力を身につけていただくことで、「働きたい」という気持ちを形にしています。

凸ちゃん
どんな人が利用しているのですか?

企業での就労を目指している発達障害、精神障害、知的障害、身体障害のある方が利用しています。
現在、横浜事業所には30名の方が登録していて、1日平均26名の方が訓練を受けています。
横浜事業所の平均年齢は28歳ですが、事業所ごとに平均年齢にはバラツキがあって、池袋の事業所は31歳、秋葉原の事業所は34歳、世田谷区の事業所は38歳です。
就労経験のない若い方から、40〜50代で再就職を希望している方も利用されています。

仕事の「判断基準」を身につける

凸ちゃん
さら就労塾では、どのような訓練を受けることができるのでしょうか?

おおきく分けると「基礎コース」と「就職準備コース」の2つのコースがあります。

基礎コースのコンセプトは「仕事の基礎力をつけること」です。
4ヶ月のカリキュラムでは、最初の3ヶ月でパソコンのスキルとビジネス基礎研修を受講していただき、最後の1ヶ月はグループ活動として4〜8人のチームで訓練に取り組んでもらいます。

パソコンのスキルは、企業で仕事をする際に必要なWordやExcelなどのビジネスアプリケーションの操作方法を学んでいただきます。
その他には、ネットワークの仕組みやビジネスメールの基礎を実地訓練で習得します。

ビジネス基礎研修というプログラムでは、京セラの創業者の稲盛和夫さんの「成功の方程式」を知ってもらうことからはじめています。
その考え方とは「仕事=意欲×能力×考え方」というもので、意欲と能力にマイナスはありませんが、考え方がマイナスだと仕事自体がマイナスに傾いてしまうことを知っていただきます。

たとえば、お客様からのクレームがあったときに、自分の失敗を隠して保身を繰り返すとどうなるでしょうか?
最初のうちは隠し通せたとしても、同じことが何度も続くと周囲は必ず気がつきます。
世の中のニュースでも、賞味期限の改ざんや官僚の嘘、耐震偽装の建築、運転手の過失による列車事故など、意欲と能力があるにも関わらず「考え方」を誤ったことで起こった事件や事故はたくさんあります。

意欲と能力があったとしても、考え方の判断基準が間違っていると、仕事で成功するのは難しいのです。
そのため、私たちは「ビジネスマナー」ではなく「考え方」を磨いていただくことを大事にしています。

最初は苦手意識をもちながら参加している方も多いのですが、今までの自分とは違う考え方やスタンスに「気持ち悪さ」を感じていただくことも訓練には必要です。
難しく感じるかもしれませんが、実際の仕事に役立つ考え方や判断基準を身につけていただくことが当施設の特徴です。

仕事を「任せて安心」になるために

凸ちゃん
基礎コースを終えたあとの就職準備コースでは、どのような訓練を行うのでしょうか?

基礎コースの4ヶ月を終えた人は就職準備コースに移ります。
就職準備コースのコンセプトは「任せて安心」です。
訓練を通じて「報告」「連絡」「相談」ができることを目指していただきます。

「任せて安心」というコンセプトを伝えると、自分にできるのか不安に思う方もいらっしゃいますが、自分ひとりで対処できることを目指すわけではありません。
配慮を受けながら仕事を完了できる形を、それぞれのスタイルで目指していただきます。

たとえば、スタッフが上司役として、実際の会社のように口頭やメールで指示を出します。
「メモを取る」「復唱して確認する」「進捗を報告する」「不明な点は相談する」「終了を報告する」という一連の流れを繰り返し練習します。
訓練生というよりもインターンの感覚で、職場での立ち居振る舞いを身につけていただきます。

基礎コースのときには担当するスタッフがついていますが、就職準備コースではあえて担当をなくしています。
実際の職場では「なんでも聞ける上司」がすぐ近くにいるとは限らないので、業務ごとに相談する相手が違うという状況を作っています。
自分が受け持つ業務について「誰に相談をするのが適切か」を判断したり、相談相手が不在であれば「次に来たときに確認する」「メモを置いておく」「メールで報告をする」といった対処方法を実践することも、就職準備コースの訓練のひとつです。

基礎コースと就職準備コースのカリキュラムは、企業で働き始めた卒業生からのフィードバックも参考にしながら、さら就労塾が独自に作りあげた内容です。
以前はパソコンスキルを身につけることが訓練の中心でしたが、卒業生から「コピー機やOA機器の使い方も覚えておいたほうがいい」「事務用具やホチキスの使い方も教えてほしかった」「資料や書類の数え方も身につけておいたほうがいい」などのフィードバックをもらって、より実践的な内容をカリキュラムに組み込むようになりました。

さら就労塾の3つの特徴

凸ちゃん
就労移行支援事業所によって訓練内容はさまざまだと聞きますが、さら就労塾の特徴を教えてください。

特徴は3つあります。

1つめは、高い就労継続率です。
さら就労塾の訓練は就労継続の力を身につける訓練なので、3年間の就労者のうち約8割が就労継続をしています。

2つめは、基礎コースと就労準備コースという構造化したカリキュラムがあることです。
「さら就労塾は事前にカリキュラムが決まっているのでわかりやすい」という感想をいただくこともあります。

3つめは、一般企業で中堅としてキャリアを積んだ、平均年齢38歳のスタッフが指導にあたっていることです。
福祉職の経験者ではなく、企業のシステムエンジニアや営業職や事務職としてキャリアを積んだスタッフが指導にあたります。

就労先は企業の事務職・事務補助

凸ちゃん
さら就労塾の卒業生は、どのような企業に就職しているのですか?

2017年8月時点で、さら就労塾を卒業した278名の方が就労しています。
主な就労先は上場企業を中心とする大手企業の事務職や事務補助です。

たとえば、2017年8月1日の時点で東京都世田谷区の千歳台事業所では、就労者はのべ113名になりました。
職種別の内訳は、事務的職業が79.1%、販売・サービスその他職業が16.5%、専門的・技術的職業が4.3%です。

凸ちゃん
障害のある求職者に向けたメッセージと今後の展望について聞かせてください。

就労移行支援の訓練は2年間という期限があるので、長いようで短い期間ではありますが、人生を左右する時間になると思います。
ご本人が納得できるところまで一緒に進むために、私たちスタッフも学び続ける必要があることを感じています。

今後の展望としては、横浜事業所では若年層支援に取り組み始めています。
引きこもりの若者や発達障害のグレーゾーンの方など、困っている人はたくさんいらっしゃる印象です。
地域若者サポートステーションや近隣の大学と連携をして、「働く」ということをメインにお手伝いができればと考えています。

凸凹ナビ編集部のふりかえり

「働き続ける力を獲得すること」を掲げているのが、さら就労塾の特徴です。
基礎コースと就労準備コースのカリキュラムは仕事の「考え方」を学んで、実践や行動に反映させていく内容だということがわかりました。
お話を伺う中で「これって、障害や健常に関係なく仕事で大事なことですよね?」と伝えると、内田さんは「そうなんです!」と笑顔で答えてくれました。
働き続ける力をつけるために、本質的に必要な考え方や判断基準を学ぶことができる場所だとわかりました。

凹ちゃん

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《取材協力》
内田恵さん(横浜事業所 施設長)
※内容は掲載当時の情報です。記載されているサービス名、肩書などは現在と異なる場合があります。

《参考資料・関連情報》
就労移行支援事業所さら就労塾(さらぽれ)

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