当事者同士がつながる場所とは? ~発達障害当事者会フォーラム2017~

凸凹ナビ編集部凸凹ナビ編集部

作成日 2017/08/01 更新日2017/09/05 1,789views

発達障害のある人が生活や仕事のことを話したり、自分の悩みを相談したりできる場所があることをご存じでしょうか?
親や支援者のための集まりではなく、障害のある当事者が集まって情報交換や交流をする「当事者会」が増えています。
発達障害当事者協会は当事者同士の活動の実態を明らかにするための全国調査を行い、調査結果の報告会を開催しました。
2017年7月17日に開催された「発達障害当事者会フォーラム2017」の内容をレポートします。

発達障害当事者協会とフォーラムの概要

発達障害当事者協会とフォーラムの概要

会場の「北とぴあ」(東京都北区)には、発達障害当事者やその支援者、医療関係者が集まりました。

「発達障害当事者協会」は、制度の谷間におかれている発達障害者への理解を深めるために、発達障害のある当事者の声を広く集めて発信することを目的にしている団体です。
活動内容は、企業や大学や自治体に向けた研修の開催、情報交換会の開催、メールマガジンの発行などです。

「発達障害当事者会フォーラム2017」は、平成28年度厚生労働省障害者総合福祉推進事業 指定課題15「発達障害の当事者同士の活動支援のあり方に関する調査」の事業報告をするために、発達障害当事者協会と一般社団法人発達・精神サポートネットワークが開催したフォーラムです。

発達障害当事者協会の金子さんは

2016年6月に改正された発達障害者支援法によって、成人発達障害者の存在が認められました。
そして、今回は関東近郊から発達障害当事者団体が12団体が集まることができました。
これは全国でもはじめてのことで、感無量です。

と、開会の挨拶で語りました。

発達障害当事者会を対象にした調査の報告

発達障害当事者会を対象にした調査の報告

左)調査結果を報告する東京大学社会科学研究所助教の御旅屋達(おたやさとし)先生。

調査結果の報告は、東京大学社会科学研究所助教の御旅屋達(おたやさとし)先生によって行われました。
御旅屋先生は「発達障害当事者同士の活動支援の在り方」調査を行った背景について以下の4点を挙げています。

  • 成人の発達障害者への関心が高まっていること
  • 当事者の支援ニーズの掘り起こしが不足していること
  • 成人発達障害者の当事者会の活動実態が明らかにされてこなかったこと
  • 当事者会の活動実態 / 意識 / 支援ニーズなどについて調査の必要性があること

調査は2段階に分けて行われました。

1次調査:全国の86箇所の発達障害者支援センターを対象として、成人発達障害者に対する支援と管轄地域における「当事者会」の把握に向けた調査

2次調査:発達障害者支援センターから情報提供のあった当事者会141団体から、連絡がとれた96団体を対象に活動内容と意識を調査

調査の結果について、御旅屋先生は「おぼろげながらも当事者会の姿が見えてくる結果となった」と話し、総括として以下の5点を挙げています。

①半数近くが当事者のみでの運営

当事者会の運営主体は46%が「当事者のみ」、14%が「支援者」、12%が「親の会」、28%が「その他」です。

②参加者は30~40代の男性が多い

活動への参加人数は66団体のうち29団体が「11~20人」、25団体が「1~10人」と回答をしています。
参加者の年齢層と性別についての質問からは、参加者の多くは30~40代の男性であることが明らかになりました。

③交流会などの緩やかな繋がりを作る活動が多い

活動内容について「茶話会」「交流会」「ワークショップ」「講演会」を挙げています。
ゆるやかな繋がりを求めている傾向があることが明らかになりました。

④約7割の団体がルールを設定している

運営上のルールについて、67%の団体が「明文化されたルールがある」と回答しています。
運営上の留意点については「初めて来た人には声をかける」「当事者以外の参加は認めない」「話すことが苦手な人にはふせんを使って書いてもらう」などがありました。

⑤課題は「対人関係」「スタッフの確保」「運営資金」

運営の課題について「利用者の対人関係」「スタッフの確保」「運営資金」を半数の団体が挙げています。

専門家のコメント

こうした調査結果を踏まえたうえで、御旅屋先生は

この調査は『当事者団体をいかに支援するか』ということから始まった。
当事者団体がここまで数を増やしたのは、当事者同士がつながってアクションをすることでしか解決できない課題があるからです。
当事者会の自律性や倫理を尊重した上で支援をしないといけないことを感じています。

と、当事者団体の役割と支援の必要性を指摘しました。

また、聖学院大学人間福祉学部教授の相川章子先生は

全国規模の発達障害当事者会の調査は初めてで、今までは親の会などが当事者のニーズを代弁することが多かったが、時代の流れは当事者同士のピアサポートの必要性に向かっています。

とコメントをしました。

発達障害当事者会12団体の意見交換

発達障害当事者会12団体の意見交換

発達障害当事者会が12団体も集まるのは全国でも初めてのことです。

フォーラムの後半では、主催者からの7つの質問に対して、発達障害当事者会12団体が事前に用意した回答を紹介していくという内容でした。
登壇した当事者団体は以下の12団体です。

  • DX会(NPO法人EDGE成人会部)
  • 一般社団法人 東京言友会
  • NPO法人 日本トゥレット協会
  • ほんわかカフェ(Neccoカフェ茶話会)
  • 東京・多摩「大人の発達障害」当事者会
  • みどる 中高年発達障害当事者会
  • アスペ・発達凸凹の集い「優しい時間」
  • 千葉発達障害当事者の会 CHTの会
  • 足利こころのピアサポート「ゆいまーる」
  • 発達障害ピアサポート サピア
  • つむぎ 発達障害当事者会
  • 発達障害当事者協会

各団体の登壇者は、当事者活動の運営スタッフという立場から、経験に基づいた回答をしていました。
回答の一部をご紹介します。

(1)当事者会として発達障害者支援センターをどのような存在と捉えていますか?

発達障害者支援センターはスタッフによって知っている知識が違います。
当事者会に参加する人は、支援センターに紹介されて来るのではなく、ネットで検索して見つけたという人が多いです。
(発達障害ピアサポート サピア)
東京都内にはTOSCA(東京都発達障害者支援センター)しかないので、多摩や伊豆諸島にも増やしてほしいです。
(発達障害当事者協会)

(2)当事者会として発達障害者支援センターと連携をしたいですか?

当事者同士でトラブルがおきたときに、専門職の人に間に入ってもらえると助かります。
(千葉発達障害当事者の会 CHTの会)

(3)なぜ当事者会を始めようと思いましたか?

4つの理由があります。
1つめは、地方では成人発達障害者が受けられる支援が少ないこと。
2つめは、自分の自己肯定感を回復させるためにも、人の役にたちたかったこと。
3つめは、定期的に集まる居場所がほしいと思ったこと。
4つめは、自分が求める支援のことを勉強したかったからです。
支援者や親を対象にした研修は多いのですが、地方では発達障害の成人向けの支援が少ないので、自分に合った支援を受けることができないという現状があります。
(足利こころのピアサポート「ゆいまーる」)

(4)専門家は「当事者だけでは運営は難しい」と言っていますが、当事者会としてはどう考えていますか?

当事者会を運営するための知識やスキルを身につけるために、当事者スタッフがピアサポーター養成講座を受けることが必要だと思います。
(つむぎ 発達障害当事者会)
当事者が苦手とする経理とか会場設営の段取りを専門家や支援者に手伝ってほしいです。
(ほんわかカフェ(Neccoカフェ茶話会))
吃音の当事者の中には支援を受けることに抵抗を示す人も多いです。
(一般社団法人 東京言友会)

(5)当事者会が困っていることは何ですか?

薬物療法について、当事者は副作用の専門知識があるわけではないので、正しいアドバイスができないことです。
(千葉発達障害当事者の会 CHTの会)
フェイス・トゥ・フェイスにしないと関係がこじれることが多いです。
あとは事務作業が苦手なので、マニュアル化したり手順化したりしています。
財政面では個人の持ち出しには限界があることを感じています。
当事者会はそもそもの日常生活が大変な人たちが集まっているので、ボランティアで運営を継続するのは大変です。
(みどる 中高年発達障害当事者会)

(6)当事者会を運営していく工夫と苦労を教えてください。

私たちの団体は以前は別の名前で活動していましたが、2年間に渡ってメールで攻撃をしてきた人がいたので解散をして、新たに団体を立ち上げることになりました。
本人が自分の障害特性を理解していないと、まわりが振り回されて疲れてしまうことがあります。
事務局のメンバー同士の相性とストレス緩和には気をつけています。
(アスペ・発達凸凹の集い「優しい時間」)
スタッフは私ひとりだけなので、その日に参加した人に手伝ってもらって活動しています。
3年前に(活動を運営するための)雛形を作ったので、それを使っています。
「来る人は拒まず。去る人は追わない。」というスタンスなので、私と相性が合う人は来ますし、合わない人は去っていきます。
「周りのメンバーの気分が悪くなることはしない」というルールだけを決めています。
(DX会(NPO法人EDGE成人部会))
年齢も性別も千差万別なので、すべてのニーズに応えるのは難しいです。
トゥレット症候群は、突然大声が出てしまうという症状があるので、多くの当事者は電車やバスなどの交通機関を使うことを嫌がります。
私が電車に乗っていると、隣の女性が席を移動することはしょっちゅうありますよ。
なので、集まれないということが課題です。
(NPO法人 日本トゥレット協会)

(7)当事者会に必要な支援は何を望んでいますか?また発達障害者支援センターを含めた支援機関に望むことは何ですか?

支援にはそんなに期待していません。
運営しているカフェの家賃補助を出してほしいことと、支援センターに私たちの活動のチラシをおいてほしいくらいです。
(ほんわかカフェ(Neccoカフェ茶話会))
当事者同士の紛争調停をしてくれる機関を設立してほしいです。
あと、監査を含む第三者機関の設置です。参加者は主催者の機嫌を損ねると当事者会に参加しにくくなるので、間に入ってほしいです。
私たちは障害をもった一般人なので、参加者のすべてに対応できるわけではありません。
そういう人へのサポートをしてほしいです。
そして、一方的な支援を私たちは望まないので、支援機関とは対等な関係を望んでいます。
(発達障害ピアサポート サピア)
当事者会の運営者の養成をしていろいろな当事者会が増えてほしいです。
運営するスタッフへのフォローアップもしてほしいです。
(足利こころのピアサポート「ゆいまーる」)
発達障害者支援センターのスタッフが当事者を当事者会に連れてきてくれると嬉しいです。
(東京・多摩「大人の発達障害」当事者会)
当事者会に初めて参加した人は、調べればわかるような福祉情報を知らない人が多いです。
そういう人がGoogleで検索をしたらワンストップでわかるようにしてほしいです。
(みどる 中高年発達障害当事者会)

このほかにも、当事者会を運営している立場からさまざまな意見が交わされました。
当事者会が集って意見交換をする機会は少ないため、登壇している団体の間でも、共通する悩みや課題に対して大きくうなずいて共感する様子が伝わってきました。
登壇者からの求めで、会場に来ていた医療関係者や発達障害のある弁護士が発言をする場面もあり、当事者会に関係するさまざまな立場の人たちの意見を聞くことができたフォーラムでした。

凸凹ナビ編集部のふりかえり

全国には141団体の発達障害当事者会があるそうです。
当事者会は悩みの共有をしたり、生活や就労についての情報交換をしたりすることができる集まりだということがわかりました。
「一緒に考えたり話したりできる仲間がいる場所」ということが、支援機関との違いなのだと思いました。
当事者同士の繋がりが本人の生きづらさの軽減につながることを、多くの人に知ってほしいと感じたフォーラムでした。

凹ちゃん

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