障害者支援は異文化コミュニケーション! 支援を成功させるコツ

宇樹 義子宇樹 義子

作成日 2017/07/28 更新日 2017/08/18 589views

障害者雇用や支援に関する法律の改定などがあり、障害者支援の現場は大きく動いています。
支援業務に初めて触れ、悩む人も多いでしょう。
私は発達障害者。今回は被支援側の立場から、障害者を支援・雇用する立場の人に知っておいてほしい心構え、コツについてお伝えします。

前の記事では、「外国人と接するつもりで被支援者と接して」と書きました。

「生きてきた背景が違うけど、同じ人間」という点で、日本人にとっての外国人、支援者にとっての被支援者は似ている、という話でしたね。
例え話をしながら、そこを深く掘り下げていきたいと思います。

障害者支援は異文化コミュニケーション

障害者支援は異文化コミュニケーション

被支援者を「いわゆる普通の人の国にホームステイに来た『外国人』」にたとえ、異文化コミュニケーションをするつもりで接するのが、障害者支援における最大のコツだと私は思っています。

被支援者を「ホームステイに来た外国人」にたとえてみよう

以下は例え話です。
頭の中で、Aさんを「あなたが普段支援している人」、Bさんを「あなた自身」に置き換えてイメージしてみてください。

アメリカ人Aさんが日本にホームステイに来ました。

日本人のBさんは、Aさんに歓迎のプレゼントを渡します。
Aさんは笑顔で、包装をビリビリに破いてプレゼントを開けました。

Bさんはちょっとびっくりしました。
日本ではほとんどの人が、プレゼントの包装は丁寧に開けるからです。

でも、BさんはAさんのことを「失礼な人だなあ!」などと判断することはしませんでした。
「Aさんは外国人だから、日本の文化を知らないだけかもしれない」と考えたのです。

Bさんの対応は正解でした。
実はアメリカには、「プレゼントの包装紙を破いて開ける = 待ちきれないような大きな喜びの表現」という文化があったのです。

さて、「アメリカ人」のイメージから、最初、Aさんを活気のある居酒屋に連れていこうと思っていたBさん。
しかしAさんの様子をよく見ていたBさんは心にひっかかるものがあって、念のためAさんの意志を確認してみることにしました。
「Aさん、夕食にはどんなところに行きたいですか?」

Aさんは答えます。
「そうですね、できれば落ち着いたところで、ゆっくり日本の雰囲気を味わえたら嬉しいです」

Aさんはどちらかというと内向的で、ガヤガヤしたところが苦手だったのです。
Bさんは少し驚いたものの予定を変更して、Aさんを静かなお寿司屋さんに連れていきました。
Aさんはお寿司屋で存分に日本の味を味わい、楽しんだようです。

相手を自分の常識やイメージで判断しないのが大事

Bさんは、Aさんの行動を日本人の常識で判断しようとはしませんでした。
また、Aさんをその国籍のイメージで判断することもしませんでした。
目の前のAさん本人のことを知り、理解しようと努めたのです。

これを障害者支援の現場に置き換えて考えると以下のようになります。

被支援者を、支援側の常識や、障害名で判断しない。
目の前の本人自身を知り、理解しようとする。

「普通ならこうするのに、こうしないこの人はダメだ」とか、「この人は○○障害だからこうしたら嬉しいはず」とかいった判断を控え、その人自身を見ようとするわけです。

みな、「○○人」である前にひとりの人間

みな、「○○人」である前にひとりの人間

みな、どこかの国の人や何かの障害がある・ない人である以前に、ひとりの人間です。
みな同じように人間として、「わたし自身」をきちんと見てもらえなかったら、傷ついたり困惑したりするわけです。

日本人だからって毎日お刺身を食べるわけじゃないのと同じように…

あなたも、「あなたは日本人だから嬉しいでしょ!」と言われて、毎日お刺身ばかり食べさせられたらちょっとつらいですよね。
障害者支援の現場でのポイントも、それと同じです。

たとえば私の場合、高機能自閉症という発達障害を持っているのですが、ある就労移行支援事業所で
「高機能群の発達障害の人なら単純作業が得意でしょう」
と言われ、不本意な支援を受けてとても傷ついてしまったことがあります。

アメリカ人だからといって外向的とは限らず、日本人だからといってお刺身ばかり食べるとは限らないように、私も、高機能自閉症のイメージどおりの人間とは限らないのです。

日本人には日本人なりの文化があるのと同じように…

国際的な場面で日本流に控えめな身ぶりで歓迎の意を表したときに、
「日本人は歓迎のときにハグもキスもしない。感じの悪い人たちだ」
と判断されたらちょっと傷つきますよね。
障害者支援の場合も、まったく同じことが言えます。

私は、人との会話が苦手、聴くのも話すのも苦手という特性を持っています。
苦手な会話に集中しようとして必死になった結果無意識に腕を組んでしまったり、相槌が変な感じになってしまったりすることがよくあります。
このため、いままでに人から複数回「失礼だ」と判断されたことがあります。

もちろん、私の側にはまったく悪意などありません。
いわゆる普通の人がその文化のもとに周囲に気を遣っているように、私も私なりの文化のもと、精一杯気を遣っているのです。

BさんがAさんにしてくれたような、ちょっとした判断の留保をすること。
そしてできれば、私個人の「文化」に興味を持ち、知ろうとしてくれること。

これだけしてもらえたら、支援を受ける側として、私はとても嬉しいです。

積極的に交流していこう

積極的に交流していこう

Aさんがアメリカ人である前にひとりのユニークな人間であるように、日本人が日本人である前にひとりのユニークな人間であるように、障害者も障害者である前にひとりのユニークな人間です。
それさえ押さえておけば、きっと大丈夫。
私たちは異文化を持つ、しかし同じ人間として通じ合うことができます。

障害者支援について学ぶことは、人とのコミュニケーションを学ぶこととイコール。
「この人はどんな人なのかな?」
行ったことのない土地に足を踏み入れるかのように、人と関わることへの純粋な好奇心を持って、歩き出してみましょう。

宇樹 義子

宇樹 義子

成人発達障害者(高機能自閉症)。30過ぎまで発達障害が発覚しなかったこともあり、思春期から20年ほどもろもろの二次障害に苦しみました。自身の経験をもとに、発達障害者や悩みを抱えた人に向けていろいろと発信中。ライターの仕事のかたわら、個人ブログ「decinormal」を運営。動物が大好き!

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