合理的配慮とは? 障害者支援を苦行にしないためのコツ | 障害者の就労支援・情報サイト【凸凹ナビ】

合理的配慮とは? 障害者支援を苦行にしないためのコツ

宇樹 義子宇樹 義子

作成日 2017/07/24 更新日2017/08/18 3,888views

2014年、日本では「合理的配慮」に関する条項を含む「障害者の権利に関する条約」が発効しました。
また、2017年より障害者の法定雇用率が引き上げになりました。
雇用者や支援者の人たちが障害者の支援について悩む場面は日々増えていっているように思います。
私は発達障害者です。支援側の人たちと接する中で、私が彼らと接するのに戸惑うのと同じように、彼らも私たちと接するのに戸惑うんだなと体感する機会が、今までたくさんありました。
こうした被支援側としての経験から、支援側にとっても被支援側にとっても苦しくなく、結果的に長続きして皆がハッピーになれるような障害者支援について考えてみます。

合理的配慮とは

合理的配慮とは

障害者支援の場面では、よく「合理的配慮」という言葉が話題に上がります。
「用語として知ってはいるけれど、実はどういう意味なのかはよく知らない」という人も多いと思います。
この機会に一度少し考えてみましょう。
外務省のサイトで公開されている条文を引用しながら説明します。(太字は宇樹)

「合理的配慮」とは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。

障害者の権利に関する条約 第二条 定義 | 外務省

この条文はだいたい2つのことを言っています。

  1. 合理的配慮とは、障害者がほかの人と同じように人権や自由を持ったり使ったりするために必要な変更や調整のこと。
  2. 合理的配慮のための変更や調整はちょうどよいものでなければならない。
    バランスの悪い負担や、行きすぎた負担が必要なようではいけない。

合理的、というのは、「理にかなった」という意味です。
また、2の部分では、ちょうどよさ、バランスのよさが強調されています。

つまり、「理屈で考えなさいよ!無理して背負い込んじゃだめだよ!」ということです。
もしかすると意外に感じる人も多いかもしれません。
障害者の支援の話は、「愛」とか「思いやり」とか「温かさ」、「マナー」「利他の精神」といったような、ややウエットで感情的な文脈で語られることが多いからです。

しかし、合理的配慮とは条文によれば、「理屈で考え、過不足のない対応をすること」なのです。
これは障害者の支援を考えるときにとても大事な感覚だと思うので、現場にいる人には一度しっかり押さえておくことをおすすめしたいです。

長続きするのは「支援側が楽な支援」

長続きするのは「支援側が楽な支援」

あなたは、障害者の支援をするときに、無理や我慢をしていませんか?
献身的に世話をしなければとか、否定的な感情は持ってはいけないとか、自分に課しているところはないでしょうか。

無理をする必要はないのです。
障害者も、ほかの人と同じようにひとりの人間として人権と自由を持っていると、条文にありました。
これは言い換えれば、支援側であるあなたにもひとりの人間として人権と自由があり、それらが尊重されるべきだということです。

バーンアウト症候群というものをご存じでしょうか。
対人支援職を始めとした心身の負担の大きい仕事に就いている人が、心身のエネルギーが燃え尽きてしまって仕事を続けられなくなることを言います。

支援側に立つ人がバーンアウト症候群に陥らないためには、自らのストレスマネジメントが欠かせないと言われています。

「障害者のため」と背負い込まないこと。疲れたら休むこと。ときには信頼できる人に(被支援側が目にしない場で、被支援側に悪影響が出ない形で)弱音を吐くこと。
そうした、「まず自分を支援する」作業の積み重ねがバーンアウトを防ぎ、結果的に長期間にわたって障害者のそばに立つことを可能にします。

「自分のため」ををきちんと思うことができれば、それがめぐりめぐって「障害者のため」になるのです。
障害者の支援にあたって、「自分が楽である」ことを自分に許しましょう。

以下は障害者向けの「自分を大事にしよう」という記事ですが、支援側の人にも参考になるはずです。

無理をする代わりに相手を知ろう

無理をする代わりに相手を知ろう

支援側の人が支援に悩む理由のひとつには、単純に「支援相手のことをよく知らない」ということがあるのではないかと、私は思っています。

相手がどんなことに困っていて、逆にどんなことが得意で、どんなことを悲しく思い、どんなことを喜びとするのか。
そういったことを、変に遠慮してしまって確認しなかったり、知らないゆえの不安などをそのままに、「でも支援しなければいけないから」と精神力でなんとかしようとしてしまっている人は、想像以上に多いのではないかと思います。

大丈夫、障害者も、障害者である前にあなたと同じひとりの人間です。
知らない人と出会ったらまずいろいろ自己紹介したり、相手に質問したりしますよね。
その人が外国人なら、そういったことを特に丁寧にやりますよね。

支援側にとっての障害者と、日本人にとっての外国人は、「生きてきた背景が違うけど同じ人間」という点でよく似ています。
外国人と知り合っていくような感じで、互いにゆっくり知り合っていきましょう。
いわゆる「よい支援」は、そういった人間としての関係構築の結果として、オマケのようについてくるものだと思います。

今後このシリーズでは、障害者の立場から支援側の人に知っておいてほしいことについて、具体的にお届けしていく予定です。
どうぞ、「相手を知る」ためのひとつの参考資料としてお使いください。

リラックスしてやっていきましょう

リラックスしてやっていきましょう

気負わず無理せずにやっていきましょう。
支援側と障害者とのリラックスした豊かな交流の先に、「よい支援」や「障害者もそうでない人もみんなが生きやすい社会」が来ると、私は信じています。

宇樹 義子

宇樹 義子

成人発達障害者(高機能自閉症)。30過ぎまで発達障害が発覚しなかったこともあり、思春期から20年ほどもろもろの二次障害に苦しみました。自身の経験をもとに、発達障害者や悩みを抱えた人に向けていろいろと発信中。ライターの仕事のかたわら、個人ブログ「decinormal」を運営。動物が大好き!

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