障害者の才能を活かすことが会社のプラスになる ~特例子会社パソナハートフル~

凸凹ナビ編集部凸凹ナビ編集部

作成日 2017/07/14 更新日2017/09/05 2,962views

自分の才能や能力を活かして働ける職場とは、どんな職場でしょうか?
東京都千代田区にある株式会社パソナハートフルは「才能に障害はない」をコンセプトに、複数の事業を展開しているパソナグループの特例子会社です。
ひとりひとりの才能を活かした障害者雇用の取り組みについて、株式会社パソナハートフルの取締役 東京事業部長の坂口さんにお話を伺いました。

特例子会社パソナハートフルについて

取締役の坂口さん

株式会社パソナハートフル取締役 東京事業部長の坂口亨さんにお話を伺いました。

こんにちは。株式会社パソナハートフルの坂口です。
パソナグループは、育児を終えてもう一度働きたいと願う主婦の方々に仕事の場を作りたいという思いから人材派遣事業をスタートした会社です。
以来、雇用のマイノリティに向けたさまざまな雇用インフラの創造と「新しい働き方の提案」をおこなっています。

パソナハートフルは2003年4月にパソナグループの特例子会社として設立しました。
最初は13人からスタートして、現在は200名近い障害のある人が働いています。

障害者手帳をもっている社員のうち、6割が知的障害、2割が身体障害、2割が精神障害がある人です。
知的障害や精神障害の手帳を持っている人の中には発達障害の人もいます。
現在、パソナグループの法定雇用率を達成する割合の障害者雇用を実現しています。

社員の9割が手帳をもっています

オフィス業務に従事する様子

株式会社パソナハートフルのオフィス。パソナグループ本社ビルの11階。

ーーパソナハートフルはどのような事業を行っているのですか?

多くの社員はオフィス業務に従事しています。
庶務業務やメール業務、パソコンのデータ入力、資料作成、会議室やホール設営などです。
オフィスワークの中から機械化ができないノンコア業務を切り出して、特性にあわせて人を配置しています。

オフィスワーク以外には、絵を描くことを業務とするアーティスト社員が就労しています。
そして、アート村工房ではアーティスト社員の描くデザインをモチーフにした、障害者の手作りの商品を発売しています。
その他に、この建物(本社)の地下ではパン作りをしたり、千葉の八千代市で野菜などを栽培したりしています。

その他には、私たちが15年間に培ってきた障害者雇用のノウハウをいかして、障害者雇用のコンサルティング・サービスを行っています。
企業の目線から、障害者雇用に伴う受け入れ体制の構築や適切な人事管理手法などを支援するサービスです。

「才能に障害はない」がコンセプト

入社9年目のアーティスト社員の森田さん。

右手前)入社9年目の森田さん。華やかで緻密な作品が特徴。
「今までただ好きで自由に絵を描いていましたが、仕事として絵を描くことを続けられることがとても嬉しいです。」

ーー障害者雇用の理念を教えてください

パソナハートフルのコンセプトは「才能に障害はない」です。
人には秀でた才能、得意や不得意、能力の凸凹があるので、それをひと括りにして「障害」といっていいのでしょうか?
障害者雇用のコンサルティングでは、いろんな企業さんに「障害は個性であり、特性を活かせばいい!」ということを伝えています。

パソナでは、最初は身体障害のある人を雇用して、お客さまに出す書類作成や定型化された業務に従事してもらいました。
そのうち、定型化された業務にはどういう人が対応できるのかを検討して、知的障害の人も採用しました。
すると、彼らは私たちが知らなかった能力を発揮してくれました。
軽作業や庶務的な業務などを任せるようになり、いまは6割が知的障害の人たちです。
いまは発達障害の人も中途や新卒で入ってきています。

私たちは障害のある社員とかかわるときに、彼が「障害者だから」ではなく、「Aくんはこれが得意だよね」という視点でかかわっています。
「障害者だから」と決めつけるのではなく、その人が得意な分野を仕事として任せたほうが本人も幸せだし、任せる側も安心できます。

パソナはベンチャーの時代からいろんなことにチャレンジしてきた会社です。
障害のある社員もチャレンジすることで、活躍の場が社内にどんどん広がっています。

会社は福祉じゃないからね

メール室で10人ほどの写真が働く様子

メール室はパソナグループ本社ビル内の郵便物・宅配便・社内メール便を受け取って仕分して、配達した郵便料金の計算を担っている。

ーーー採用方法について教えてください。

新卒採用は東京都内の特別支援学校から紹介を受けています。
中途採用で採っている人は精神障害や発達障害の人が多く、就労移行支援事業所やハローワークから応募を受けています。
就労移行支援事業所に通っている人は、そこで自分の得意・不得意を教えてもらってから就労しているようです。

ーーー入社後の社員教育について、工夫していることはありますか?

定期的な面談もしますが、それ以外にも声をかけながら、日常の彼らの行動から読み取ることを心がけています。
仕事をしてるときに「どうだー?」、廊下で見かけたら「おー!仕事楽しいか?」、食堂で見かけたら「ちょっとおいで!一緒に飯くおうぜ!」などと声をかけたりしています。

会議室での面談で引き出す話もありますが、日常の態度や行動から情報を引き出してフォローしていくこと。
それを自然に心がけています。
会社なので上司と部下でもあるし、フラットとはいいませんが、声をかけることで指導が指導にならないように心がけています。

あとは「会社は福祉じゃないからね」と伝えることもありますね。
厳しいことを伝えないといけない場面もありますから。
家族や身内では「やってもらって当たり前」だったことが、会社では誰かのために自分を犠牲にしたり、自分に負荷がかかったりします。
労働力を提供することによって給料がもらえているので、「あなたが働くことで誰かのためになっていて、それが会社を支える」という話をしています。

ーー働く様子をみせていただいて、みなさんがいきいきと働いていることを感じます。

私たちの会社を見て「パソナハートフルだからできるんだよね」と、他の企業さんから言われることがあります。
なにか特別なことをしているように見えるようですが、そんなことはないです。

厚生労働省のデータをみると、障害者の雇用定着には課題があるようです。
とくに精神障害のある人の雇用定着には、受け入れる企業の側にノウハウがなかったり、本人の意識がおいついていなかったりします。
「自分は障害者と思われたくない」と、障害受容ができていない方もいらっしゃいますね。

自分の才能を活かすためには障害があることを伝えたほうが長く続けられるのではないか?と伝えることもあります。
彼らは能力に凸凹があるけど、それは健常者も同じです。
互いのマイナスばっかり指摘しあってもしょうがないので、個性を活かしていったら、会社にとってプラスになるんですよ。

うちはあんまり辞めないんですよ

入社4年目の有馬さん

右手前)入社4年目の有馬さん。社内の文具の発注と納品チェックを担当。「昨日は100件くらいの依頼を受けました」

ーーー長く勤めている人は勤続何年ですか?

パソナハートフルの設立前にパソナ本社の障害者雇用として働き始めた人は長いですね。
20年間勤めている知的障害のある30代後半の男性がいます。

うちはあんまり辞めないんですよ。というか、ほとんど辞めない。
誰かの役に立ちたいというモチベーションで働く人を採用しているので、きちんと感謝の言葉をかけることで定着してくれています。
「ありがとう」「たすかったよ」と伝えることは、健常者同士でも当たり前じゃないですか。
私たちはそれが日常になっているので特別な感じはないですよ。

障害者雇用をはじめると、的確に指示をだすことや、感謝をしめすことなど会社としての原点にもどることになります。
このビルには約4,000人の社員が働いていますが、200人の障害者社員が溶け込んでいます。
お昼を一緒に食べたり、隣のシマにいたりと、いつのまにかダイバーシティやノーマライゼーションが進んでいました。
だから、障害者雇用は会社全体がよくなることに繋がるのです。

既成概念に縛られている会社もまだあるようですが、私たちがコンサルティングに入った企業さんや「職場内障害者サポーター事業」に参加した企業さんには、そのことを伝えています。

彼らの仕事ぶりをみてほしい

取締役の坂口さんが商品の説明をする姿

本社玄関を入った正面にあるアート村工房。パソナハートフルの商品を購入することができる。

ーーー坂口さんはパソナハートフルの設立時からかかわっているのでしょうか?

私は立ちあげからではありませんが、障害のある社員とかかわりはじめて10年くらいです。
パソナハートフルに来てからは5年くらい経ちます。

パソナハートフルに入り、障害者メンバーと初めてふれあったのは、東京都武蔵野市にあるアート村工房・武蔵野を訪れたときです。
知的障害のあるメンバーがどのように商品製作に取り組んでいるのかを実際に見たことがなかったので、働く姿を見て衝撃を受けました。
10人ぐらいがポストカードやカレンダーを作っており、的確にピッピッピッとカッターで切ったり、絵を書いたりしていました。
普段見ていた既製品のような完成度の高い商品の数々が本当に手作りだとわかって、真似できないなと思いましたよ。

障害があるからこそ、私たちにできない秀でた部分があるのかもしれません。
障害という表現がこの世の中になかったら、それは個性なのか、得意なのか、才能なのか。
できない部分だけをクローズアップするから「障害」になってしまうのであって、できるところがすごいんだよ、という部分には目が向かないことが多いです。

企業向けのセミナーでは、働く様子を見て感じてもらうことで障害理解をはかっています。
オフィスワークに従事する様子やアート作品を通じて、障害のある人の才能を知ってもらい、誰かを勇気づけられる会社でありたいです。

凸凹ナビ編集部のふりかえり

人の才能を活かす障害者雇用についてお話を伺いました。
「誰にでも能力の凸凹があると考えると、障害者雇用は障害者だけの話ではない」ということを坂口さんはおっしゃっていました。
得意なことは才能で、できないことが障害だとすれば、誰もが才能も障害もあわせもっていることになります。
障害ばかりに目を向けるのではなく、才能や能力を活かして「誰かの役に立つこと」を実現する雇用の形について教えていただいた取材でした。

凸ちゃん

凸凹ナビに求人を掲載しませんか?
大きな写真や充実の求人情報で貴社のアピールポイントを表現して、ミスマッチの少ない採用ができます!

求人掲載のお問い合わせ
凹ちゃん

お仕事探しには、障害や凸凹がある人のための求人情報・転職支援サービス『凸凹ナビ』を使ってみてください。
全国の企業の障害者求人の紹介や、お仕事探しのお手伝いをしています!

凸凹ナビに会員登録(無料)をする

《取材協力》
坂口亨さん(株式会社パソナハートフル 取締役 東京事業部長)
森川洋子さん(株式会社パソナグループ マネージャー 広報室)
※内容は掲載当時の情報です。記載されているサービス名、肩書などは現在と異なる場合があります。

《参考資料・関連情報》
株式会社パソナハートフル

凸凹ナビ編集部

凸凹ナビ編集部

凸凹ナビ(でこぼこなび)は、障害や凸凹がある人向けの求人情報・転職支援サイトです。障害者として働きたい人・障害者を雇いたい人・障害者の就労に関心がある人に向けて、役立つ情報をわかりやすくお届けします!

▼会員登録がまだの方

▼凸凹ナビ会員の方


凸凹ナビとは?

凸凹ナビ(でこぼこなび)は、障害や凸凹がある人のための求人情報・転職支援サービスです。障害者手帳をお持ちの方や取得をご検討中の方を対象に、お仕事探しのお手伝いをいたします。webサイト上でも、ご希望のエリアや職種・業種で求人を絞り込んで検索することができます。まずは凸凹ナビに会員登録(無料)をして、ご希望条件をお知らせください!


凸凹情報室 人気記事

凸凹情報室 新着記事

カテゴリから記事を読む