感覚過敏持ちが仕事を続けるための「環境調整3つのアプローチ」とは

宇樹 義子宇樹 義子

作成日 2017/05/19 更新日 2017/05/24 659views

発達障害者の仕事がなかなか続かない理由のひとつに、感覚過敏があります。
私も、感覚的に耐えられない仕事に無理して挑戦しては、心身をボロボロに消耗させてしまって辞めるということを何度も繰り返しました。
今回は、感覚過敏持ちが仕事を続けていくための環境調整のアプローチ方法、必要な心がまえについてお伝えします。

環境調整3つのアプローチ

環境調整3つのアプローチ

感覚過敏持ちでも疲れをためず、仕事を続けられるようになるには「環境調整」というものが必要です。
環境調整とは文字通り、周囲の環境を(その人に合わせて)調整していくこと。
そして環境調整には、3つのアプローチがあるのではと私は思っています。

私が言う「環境調整3つのアプローチ」とは、

  • 防備する
  • しんどい状況を避ける
  • しんどい状況が多い職種を避ける

のことです。以下それぞれ説明していきます。

防備する

過敏な感覚にとって過剰な刺激を、いろいろなツールを使って防ぐことです。

耳栓、デジタル耳栓、イヤーマフ、防音パネルなど

まぶしさ

サングラス、色つきメガネ、PC画面に貼るフィルムやアクリル板など

情報量

ついたてやパーティションを使う、ファイルケースの色を統一するなど

防備の詳しい方法については、こちらの記事で紹介しています。

しんどい状況を避ける

職場の中で、五感の刺激が強くなるような仕事からはなるべく外してもらいます。

においや音、光、寒暖の差の強い場に身を晒さなければならない仕事からはできるだけ離れているようにできるとよいでしょう。

しんどい状況が多い職種を避ける

しんどい状況で仕事をすることを求められることが多そうな職種はそもそも避けるというのもひとつの手です。

私の場合、たとえば以下のような職種は、たとえコミュニケーション障害や注意散漫の要素を除いても、純粋に感覚過敏の要素だけで無理だと感じます。

電機店・コンビニ・ドラッグストアの販売員

まぶしかったり音がうるさかったりしてしんどそうです。

スーパーの鮮魚コーナー

魚の匂い、きつい冷房などで体調を崩しそうです。

飲食店

厨房はさまざまな五感刺激があふれているところですし、調理にはとても体力が必要です。
接客の役回りも、飲食店にありがちなざわめきや食べ物の匂いに長時間晒されているとそれだけであとで寝込んでしまいそう。

※以上は私の持つ感覚過敏から見てごく個人的に「しんどいと感じる」という意味で挙げただけであって、上記の職種やそれに従事する人を否定するものではありません。
発達障害の人や感覚過敏を持つ人でも、以上の職種が平気だったり、頑張って勤務を続けている人はいるはずだと思います。

「これは許せる」「これは許せない」というラインを吟味し、自分なりの「NG職種リスト」を作ってみましょう。

どのアプローチにも必要な心がまえ

どのアプローチにも必要な心がまえ

3つのアプローチのどれにも不可欠な心がまえがあります。それは「理解と受容」です。

自分で自分を理解し受け容れる

まずは、自分で自分を理解することです。
たとえば、「感覚的にしんどいような仕事は、どれだけ努力しても続けることはできない」ということをしっかり認めること。

やりたかった、周囲がこれをやるべきと言っていた、その仕事に好条件の求人が多いなど、いろいろ背景があって、これらの仕事を諦めるのにはつらいことかもしれません。
納得できるまでに時間がかかることもあるでしょう。
私にとってもこれはなかなかつらい作業でした。

しかし、「できないものはできない」、この事実を過不足なく認め、その「できない自分」を許すことで、「では限られた選択肢の中でどれを選んでいこうか」という次のステップに進んでいくことができるのです。

周囲に理解を求め受け容れてもらう

環境調整には手間がかかるものです。できる仕事の範囲も限られてきます。
これを職場で実行するには、周囲の人たちの理解が不可欠です。
自分が何がだめで何が大丈夫なのか、丁寧にわかりやすく説明し、理解してもらいましょう。

周囲の理解が追いつかなくて少し的外れなことを言われたりされたりしたときも、できるだけ攻撃的にならず、穏便に対応することをおすすめします。
きっとその態度が、ゆくゆくあなたの社内での印象を上げ、過ごしやすい居場所を作っていってくれるでしょう。

※客観的な目から見ても明らかにパワハラと判断できるような場合は、無理してそこにいつづける必要はありません。
何かあったときはひとりで判断せず、的確な判断をしてくれそうな複数の信頼できる人たちに相談してみることをおすすめします。

当事者でない人たちにとっては、私たちの感じている感覚はまったく未知のものなのです。
たとえ理想的な扱いをされなかったとしても、少なくとも会社の人たちが私たちを雇ってくれ、私たちのことを理解しようと彼らなりに努めてくれていることに、少しだけ感謝の気持ちが持てたらベストです。

発達障害者にはつい極端な「白か黒か」といった思考にとらわれてしまいがちな人も多いですが(私もそうです)、少し、あいまいな状況に身を置くことに慣れる訓練をしてみましょう。
こうしてあいまいな状況に慣れていくうちに、いつかそれなりに心地よい関係に囲まれている自分に気づくかもしれません。

完璧ではないけど、ぼちぼち許してもいい。
そんな居場所を、少しずつ獲得していきましょう。

生きづらい社会を賢く乗りこなそう

生きづらい社会を賢く乗りこなそう

私たちには残念ながら、いわゆる健常者と同じような職業選択の幅がありません。
けれど、私たちなりに賢く吟味を行い、いろいろな人の助けを借りさえすれば、私たちにも充実した職業人生を送ることは十分可能だと、私は思っています。

なかなか生きづらい社会ではありますが、賢く軽やかに乗りこなしていきましょう!

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この記事を書いた人

宇樹 義子

宇樹 義子

成人発達障害者(高機能自閉症)。 30過ぎまで発達障害が発覚しなかったこともあり、思春期から20年ほどもろもろの二次障害に苦しみました。自身の経験をもとに、発達障害者や悩みを抱えた人に向けていろいろと発信中。 ライターの仕事のかたわら、個人ブログ「decinormal」を運営。動物が大好き!

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