発達障害者がブラック企業にだまされた! 経験者が語る注意点

宇樹 義子宇樹 義子

作成日 2017/05/17 更新日2017/08/21 1,905views

発達障害者の中には、必死に仕事を模索する中でいわゆるブラック企業やトンデモ企業にだまされたり搾取されたりしてしまう人がいます。
私もそのひとりで、何度かいわゆるブラック企業にだまされたことがあります。
自分の経験にもとづき、発達障害者がいわゆるブラック企業にだまされないために注意すべきことをお伝えします。

ブラック企業にだまされた!

ブラック企業にだまされた!

キャリアが迷走している時期には本当にいろいろな企業に接したのですが、その中でも印象が強烈だった企業2つについて、特定できない範囲でぼかして紹介します。

会社が詐欺をやらかした

ライターとしてのキャリアの初めのほうで縁があった会社です。

リモート勤務で、時給2000円というのでホクホクしながら働いていました。
しかしあるとき、こんな話を社内の人から聞いてしまいました。

「会社が勤務実態のない人を社員として登録し、お金を不正に受給している」

私にその話を教えてくれた人は、詐欺を率いている人から脅されて、詐欺行為に協力させられていました。
震え上がった私は、巻き込まれないように必死に知らないふりを装い、適当な理由をつけてそこの仕事を辞めました。

あとで聞いたところによると、私が採用された年に「採用」された人たちは、私を除く全員が幽霊社員だったそう。

会社に大嘘をつかれた

やはりライターとしての初めの時期に関わった会社です。

送られてきた書類には、「社員、月給20万円、フレックス勤務、業績によりインセンティブあり、試用期間3ヶ月」などなどとありました。
社長の印鑑も押された、きちんとした契約書でした。

私は夫と共に大喜びでお祝いし、契約書に印鑑を押して契約をしたのですが…

初めての給料日、銀行口座を見ると数千円しか振り込まれていません。
慌てて会社に「これってどういうことでしょう? 試用期間だからですか?」と確認すると、「いや、1記事○円だから」と。

え? 1ヶ月20万円の月給制でインセンティブつきなんですよね? と訊くと、「いや、あれは会社に出勤してくれる社員向けの条件だから」と。
相手はまったく悪びれない様子です。

私は愕然としてしまい、しばらく二の句が継げませんでした。
私は、まさか相手が互いにハンコを打った正式な契約書の内容を守らないなどということがあるとは思っていなかったので、比較的順調に進んでいたほかの仕事をすべて断ってしまっていたのです。
私の収入は大幅に減ってしまいました。ほぼ無償のボランティアの領域です。

これはおそらく、法的な場に訴え出れば私が勝てるであろう案件です。
しかし、私は界隈に顔のきく彼らから報復を受けるかもしれないと思うと恐ろしくて、訴え出る気持ちにはなれませんでした。
仕事内容自体は面白く、スキルアップや実績のために役立つものだったのでしばらくやりましたが、結局は適当な理由をつけて辞めました。

発達障害者がブラック企業にだまされないためには

発達障害者がブラック企業にだまされないためには

私がブラック企業にだまされてしまった理由を考え、そこから「だまされないために必要なこと」について考えてみましょう。

だまされた理由を考えてみる

私が上記の会社にだまされてしまった根底には、何か共通の要素があるような気がします。
それは、「冷静さを失っていたこと」。

切実に、人から、社会から認められたかった。
社会から認められたことを確認するには、
金銭的な報酬が最もわかりやすかった。
だから、高い報酬を目にしたときに警戒心を働かせることができず、舞い上がってコロッと相手を信じてしまった。

あとで発達障害仲間に言われたのは、こんなことです。

発達障害仲間
自分が社会から正当な評価やお金をもらってないっていう感覚は、よくわかる。
でも、それって今のいわゆる健常者の世界でだって同じなんだよ。
そんな状況の中で、障害者のあなたが、まだペーペーの経験で、
よりによって完全リモート勤務なんていう条件で職を求めたとして、
いきなり一般の人を上回りかねないようなお金がもらえるはずなんて思い込むのは
うっかりもはなはだしいよ。

ものすごくグサッときてしまって、とっさに何か言い返そうにもひとことも言い返せませんでした。

私たちは確かに正当な評価を受けていないけれど…

現状、私たちは確かに、社会から正当な評価を受けていません。
いわゆる健常者も、障害者も、誰しも不当に低い報酬の中であがきながら生きている。
こうした社会は、正しいか間違っているかでいえば、たぶん間違っています。
圧倒的に間違っている。少なくとも私はそう思います。

けれど… 残念ながらそれがいまの現実なのです。
正しいか間違っているかの価値判断は別として、それが私たちを囲む現実であり、最も出会いやすい状況であるということを、私たちは一度、噛み締めないといけないのかもしれません。

「おいしい条件」を目にしたらまず警戒せよ

だから、ブラック企業にだまされないために私がおすすめしたいのは、「おいしい条件」を目にしたらまず、徹底的に警戒することです。
警戒しすぎなぐらいでちょうどいいかもしれません。

やったー! これで食っていける! というようなお給料の額。
それはもしかすると、「これだけの額をやるんだから、どんな汚い・きつい指示にも素直に従うよね?」ということを織り込み済みの額なのかもしれません。

または、私たち自身のスキルや人柄を買っているのではなく、私たちが障害者だから、障害者雇用率や体面の点で都合がよいという計算だけで、私たちを雇おうとしているのかも。
あるいは、魅力的なお給料を餌に私たちを釣っておいて、はなからそんなお給料支払う気がない、というケースもあるかもしれません。

質問する・言質をとる

誰もが買い叩かれている世の中で、よりによって障害者を、高い条件で雇うのはなぜなのか。
高いお給料ほか、良い条件を目にしたら、単純に「良心的な人たちなのだ」と信じてしまう前に、いろいろ質問して探りを入れてみましょう。

たとえばこんな感じ。

宇樹 義子
障害者の私に、これほどのお給料をくださるのはなぜですか?
すみません、以前いろいろとトラブルのケースを耳にしたもので不安になって…

詳しく聞こうとすると不機嫌になったり、きちんと話してくれなかったりするようであれば、何か後ろめたいことや隠しておきたいことがあるのかもしれません。

本当にその額のお給料がもらえるのか、ほんとうに示されたとおりの条件の勤務になるのか、しっかり言質をとり、その記録を残すというステップを踏むことも、万一のために役立つかもしれません。

会話を無断で録音することが合法かどうかは難しいところのようです。
ですので音声会話の場合、
「大事な話なので記録に残したいのですが、メモをとるのが苦手なので」
などと穏便な理由をつけ、録音する旨をあらかじめ知らせましょう。
そのほか、メールやチャットなどのログが残る手段で話をするというのも手です。

支援者・専門家に頼る

支援者や専門家に頼るのもとてもよい方法です。
偏りのない判断を下したり、相手から必要な情報を十分に引き出したりするには、ひとりでは限界がある場合もあるからです。
障害者就労・生活支援センターの人や、人材紹介会社のキャリアアドバイザー、ハローワークのキャリアカウンセラーなど、支援者や専門家に間に入ってもらいましょう。

警戒を忘れず、しかし積極的に

警戒を忘れず、しかし積極的に

私の体験談を読んで、不安になってしまった人もいるかもしれません。

けれど、どうか縮こまらずにいてほしいです。
わずかな警戒心を手放さないでさえいればきっと大丈夫。
つねに頭のすみっこに慎重さを置きつつ、チャンスだと思った案件には積極的にチャレンジしていきましょう。

あなたが、賢く冷静に、ときには人にも頼りながら、安全な会社・仕事と出会っていけますように。

宇樹 義子

宇樹 義子

成人発達障害者(高機能自閉症)。30過ぎまで発達障害が発覚しなかったこともあり、思春期から20年ほどもろもろの二次障害に苦しみました。自身の経験をもとに、発達障害者や悩みを抱えた人に向けていろいろと発信中。ライターの仕事のかたわら、個人ブログ「decinormal」を運営。動物が大好き!

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