発達障害者が自立するための5つのコツ 自分専用の道を切り開こう

宇樹 義子宇樹 義子

作成日 2017/05/15 更新日 2017/06/15 1,753views

発達障害者にとって、いまの社会は残念ながら、生きやすい・働きやすい状態ではありません。
そんな中でも発達障害者がなんとか自立していくには、どういったことが必要なのでしょうか。
この記事では、発達障害持ちで二次障害も経験した私がそれなりに自立できるまでに考えたことをお伝えします。

現在の社会システムは発達障害者を想定しては作られていない

現在の社会システムは発達障害者を想定しては作られていない

現在の社会システムは残念ながら、発達障害者の存在を想定しては作られていません。
以下に少し説明しましょう。

企業の障害者雇用義務2.0%の中に、ようやく2018年から精神障害者が含まれることになりました。
これは大きな前進ですが、逆に言えば、いままでは「身体障害者には雇用義務があるのに、精神障害者には雇用義務がない」状況だったということ。

このように精神障害者は、身体障害者と比べると、社会や企業にとって今日に至るまでマイナーな存在でした。
そして、最近ようやく少し注目を浴びるようになってきた発達障害者はまだ、このようにマイナーである精神障害者のうちの、さらにマイナーな存在なのです。

こんにちの発達障害児には、数十年前と比べると早期に診断が与えられ、さまざまな療育や訓練が施されるようになりました。
これはとても喜ばしい変化です。
しかし、では彼らが学校や施設を出たあとに、彼らの受け皿となる職場が十分に用意されているかというと、そうではないのが現実です。
残念ながら彼らの世代も、就労において苦労を強いられるでしょう。

これが、発達障害者を取り巻く現在の労働市場の様相です。

道がない? だったら自分で切り開いてやる!

道がない? だったら自分で切り開いてやる!

最初からとても嫌な話をしてしまいましたね。
現在の社会では残念ながら、発達障害者用の「これならだいたい安全といえる人生の道」はまだ用意されていないのです。
しかし私の場合、ここで逆に「なんだとー!? オラは怒ったぞ! だったら自分で道を切り開いてやろうじゃねえか!」という気持ちになったのです。

いずれにしろつらい道ならば

自分のための道が用意されていない、真っ暗闇の人生を生きなければならないというのはとてもつらいことです。
けれど、単に生まれた時代や社会を間違えただけで、このようにつらい人生を強いられるのはなんだかとても悔しい…

道なき道を手探りで進み、自分の手で道を切り開いていくのも、それはそれはつらく厳しい生き方でしょう。
けれどそもそも、最初から私に与えられていた人生自体も、つらく厳しいものだったのです。

同じようにつらいなら、私はあがいてみたい。
もしうまくいけば、今より幸せな人生と出会えるかもしれない。
残念ながらうまくいかなかったとしても、私は自分がこうしてあがいたことだけを自分の勲章として死んでいこう。

私はそう思ったのでした。

※あがきたくないと考える人、あがくだけの力が沸いてこない人もいるでしょう。
私と違った選択肢を選ぶ、または選ばざるをえない人を、私は決して否定しません。
私自身、人生のいずれかの時点でなんらかの幸運に恵まれたからこそチャレンジできただけで、いまのポジティブな私は単なる偶然の産物だと考えています。
この記事に書くことは、いち当事者がたまたま持った個人的な考えとしてご理解ください。

自分だけの「セーフティーネット」を切り開く

私はつぎに考えました。

私は360度真っ暗闇の地底にいる。

皆はどうも、同じ地底でも、アリの巣のように縦横無尽に張り巡らされた道を通して、社会と柔軟かつ密接につながっている。
その精緻な道は、あらかじめ与えられたものもあるし、誰に教えられるわけでもなし、彼ら自身が自然と掘り当てていったものもあるだろう。
彼らはその豊かな網目に守られているおかげで、どこかの道がひとつふたつ崩れ落ちても、慌てずに安全に生きていけるのだ。

つまり、社会とつながるセーフティーネット。
そういうものが私にはないわけだ。

じゃ、真似っこして自分用のものを掘っていってみようか。
彼らのような生きやすさ、ちょっとやそっとのことではへこたれない安全感を私にも再現するには、どんな方向に道を広げていくのが効率がよいだろうか。
彼らの道を手本にして、そこから自分だけの道にカスタマイズするのだ。

それから5年ほどの間、私は試行錯誤しながら少しずつ自分なりの自立をつかんでいきました。

発達障害者が自立をつかむための5つのコツ

発達障害者が自立をつかむための5つのコツ

私がいろいろとあがいてきた中で、自分が「社会としっかりつながる ≒ 自立する」ためにこれは必要だなと思った要素を5点、紹介します。
5つの要素は自立のためにどれも不可欠だと私は考えています。
自立に向かってのレベルに合わせ、前半と後半に分けて説明します。

自立のためのステップ前半

社会とつながる道をおおまかに切り開いていく時期です。
心身のつらさを取り除き、将来的に会社や仕事とつながっていくための前準備をします。

1.環境調整

日常生活や仕事をするうえでの「つらい要素」を少しでも軽減していく試みです。
たとえば、感覚過敏を楽にするためにはどんな環境が必要かを考えて、なるべくその環境を用意するとか。

情報過多によるパニックや疲れを防ぐためにはたとえばパーティションが必要かな? とかいったことです。

2.自分の世話をする

心身ともに不器用さを抱えていることの多い発達障害者には、「まめなメンテナンス」が必要です。
疲れに気づきにくい、感情に振り回されやすい、周囲から叱責された経験が多いため自分を責めてしまいがち…

自分の心身のケアを、できるだけ毎日意識して過ごすことです。
メンタルケアについていろいろ学んでみるのもよいでしょう。

3.支援者とつながる

懸命なセルフケアにもかかわらず心や身体が悲鳴をあげてしまうというのは、不器用な発達障害者にはありがちなことです。
こんなときにも誰か手を差し伸べてくれる人がいる、というのは非常に大きな助けになります。
できるだけ多くの支援者や、助けてくれる人たちとつながりましょう。

自立のためのステップ後半

前半でおおまかに切り開いてきた道をきれいに仕上げ、実際に会社や仕事に向かって歩んでいく時期です。

4.社会のルールを学ぶ

普通の人が自然と学んでいける社会のルールのようなものも、発達障害者にとってはハードルの高いものとなりがちです。
社会とかかわるときに、このあたりの不器用さが障壁となってくることがあります。
そろそろ働くことにチャレンジしてみようかというときは、社会のルールについておさらいしておくことが大事だと思います。

SST(ソーシャルスキルトレーニング)、LST(ライフスキルトレーニング)などのキーワードで、本や情報、訓練を探してみましょう。

5.雇用側に働きかける

4番ぐらいまでの実践ができ、セーフティーネットがおおかたできてきたら、あとは雇用側に働きかけて最終的に自分をぐいっと社会にねじ込んでいく段階です。

宇樹 義子
自分にはこういう良いところがあります。
その良いところを生かすにはこういう点に気をつける必要があります。
総合して考えると私はあなたのところの労働力としてとてもおすすめです!

上の4番までの要素をうまく満たすことができていれば、そのときにはきっと、こんな感じの自己アピールを作り上げられるようになっているはずです。

自分なりのセーフティーネットを築いて

困っている・参っている発達障害者はたいていの場合、いろいろな意味で孤独で、社会や安心感から切り離されています。
ゆっくりでいい。ひとつひとつ、あなただけの安全とつながりの網を広げていきましょう。
その先にあるのがきっと、私たちなりの自立です。

今後、上の5つのコツについて詳しく掘り下げた記事もお届けしていく予定です。
乞うご期待!

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この記事を書いた人

宇樹 義子

宇樹 義子

成人発達障害者(高機能自閉症)。 30過ぎまで発達障害が発覚しなかったこともあり、思春期から20年ほどもろもろの二次障害に苦しみました。自身の経験をもとに、発達障害者や悩みを抱えた人に向けていろいろと発信中。 ライターの仕事のかたわら、個人ブログ「decinormal」を運営。動物が大好き!

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