成人発達障害者が障害年金を申請・受給した体験談

宇樹 義子宇樹 義子

作成日 2017/04/18 更新日 2017/04/18 1,777views

私は30歳を過ぎて発達障害の診断を受けました。
二次障害も抱えていて、働くことや日常生活に困難があったため、障害年金の受給申請をすることに。
今回はそのときの体験談をお届けします。

障害年金とは

障害年金とは

障害年金とは、病気やケガのために「障害の状態(日常生活や仕事に一定以上の支障が出ている)」になった人に、国や公的機関などから定期的に支給されるお金のことです。

障害年金には、大きく分けて

  • 障害基礎年金
  • 障害厚生年金
  • 障害手当金

の3種類があります。

私が申請・受給した障害年金は「障害厚生年金」に該当します。

発達障害単体では申請が通らない?

私に発達障害の診断を出してくれた心療内科で申請作業を開始することにしました。
驚いたのは、そこの担当ソーシャルワーカーさんからこんなことを言われたことです。

ソーシャルワーカーさん
発達障害単体の診断書・申請書では申請が通らないことがほとんどなんです…

もう5年ほど前のことですし、判断する関係者の考えに大きく左右されるので今でも全国的にそうとは言えません。
しかし少なくとも私の場合、当時、障害年金の現場を知っている専門家からこういった見解を聞かされたわけです。
まだまだ発達障害の認知は広まっていないんだなーと感じさせられたできごとでした。

結局、申請時の「初診日」にあたる通院での診断が「うつ病」であったこと、その後ずっと抑うつ気分が続いていることもあって、「うつ病」で申請する方針に決まりました。

※現在では、徐々に発達障害単体での認定事例が増えているようです。

チームでの支援が不可欠

チームでの支援が不可欠

書類作成を通して強く感じたのは、申請作業にはチームでの支援が欠かせないということでした。

私の場合、医師、病院づきソーシャルワーカー、障害者就業・生活支援センターの支援員、という3つの立場の人たちの支援を受けました。

支援サービスの利用料は、医師の診察・診断書以外はすべて無料でした。

医師

最終的に決め手となる診断書を書いてくれる、かかりつけの医師です。
私本人とほかの支援者で作ってきた関係書類をもとに、医師として診断書を仕上げ、ハンコを打ってくれます。

病院づきのソーシャルワーカー

障害年金などの制度に詳しい人です。
できるだけ申請が通る書類ができるように、専門知識をベースに状況の聞き取り・整理をして医師に伝えてくれます。
患者と医師・制度側をつなぐ通訳者のような立ち位置です。

障害者就業・生活支援センターの支援員

ソーシャルワーカーさんと連携しながら、とても細やかに支援してくれました。
病歴・就労状況申立書(申出書とも)などの作成・提出に際して、スケジュールを立ててくれたり、一緒に書類を書いてくれたり、病院に連れていってくれたり。
センターの名前にあるとおり、生活面での全般的支援をしてくれた感じです。

ほかには一般の司法書士・行政書士などが料金をとって支援してくれるケースもあるようです。
いたれりつくせりのようですが、お金がかかるので見送りました。

喜びと悲しみに引き裂かれて

書類作成の過程では、本当に救われた思いがし、大きな喜びと感謝を感じました。

宇樹 義子 喜んでいる
「こんな私」のためにこんなに多くの人がごく当たり前の顔をして支援してくれるんだ…!

しかし同時に直視せざるをえなくなったのは、「自分が今までどれだけ誤解され、放置されていたか」ということ。
過去の自分が、自身の障害に気づかぬまま、たったひとりで叱責や嘲笑、有形無形の排除を素直に受けるままにしていた無数の瞬間が、自分の中に一度にワーッとよみがえってくる感じでした。

「過去にさかのぼって傷つく」というのはこういう感じなのかと思いました。
あるいは、本当は傷ついていたけど、傷つかなかったことにしてなんとか乗り切ってきた事実に気づいてしまうということ。

これはなかなかにつらい感覚で、私はかえって調子を崩してしばらくの間寝たり起きたりの生活になってしまいました。

書類作成は私にとってひとつのミッション

書類作成は私にとってひとつのミッション

それでもいつしか私の中にはほんの少しずつ力が湧いてきました。
障害年金申請のための書類作成を、自分の人生上のひとつのミッション(使命)のようにとらえるようになっていたのです。

支援を受けながら申請書を作り上げて提出する過程には、私が温かで幸せな人生を送ろうとするうえでこなしておかなければならなかったいろいろな「宿題」が眠っていたように思います。

自分が弱者・障害者であり、今までもずっとそうであったことを受け入れること。
自分がこれから弱者・障害者として生きていくことを納得すること。
今まで人を信じることも交流することもなかった私が、彼らを信じ、交流していこうとすること。

孤立無援の中で人知れずわけのわからない苦しみにさいなまれていた私が、初めて外界と接しようと足を踏み出した期間だったのだと思います。

めでたく受給開始

皆さんの支援のかいあって、3ヶ月ほどの審査期間のあと、めでたく障害年金が受給できるようになりました。
病院にかかったり下着を買い換えたりするお金を出すことも躊躇するほどお金のなかった経済状態に余裕が生まれ、心底ほっとしたのを覚えています。

ぜひ申請に向かって動いてみて

ぜひ申請に向かって動いてみて

障害年金制度は非常に複雑ですし、管轄の機関によっても事情がまったく違うので、こうしたら絶対にこう、と断言することが難しいです。
専門家でもない私が、あなたは申請したら通るよ! などと言うことはできません。

ただし私の場合に限って言えば、結果的に受給できたことはもちろん、申請のための書類作成の過程で経験したことが今の私にとって大きな糧になっていると感じます。

障害年金申請は、なかなか大変な作業ではあります。
しかし私個人としては、「自分には障害年金が必要だ」と少しでも思う人には、ぜひ一度チャレンジしてみてほしいと思います。

あなたが少しでも楽に生きられるようになりますように。

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この記事を書いた人

宇樹 義子

宇樹 義子

成人発達障害者(高機能自閉症)。 30過ぎまで発達障害が発覚しなかったこともあり、思春期から20年ほどもろもろの二次障害に苦しみました。自身の経験をもとに、発達障害者や悩みを抱えた人に向けていろいろと発信中。 ライターの仕事のかたわら、個人ブログ「decinormal」を運営。動物が大好き!

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